『うみねこのなく頃に』EP8は戦人犯人説で見ると評価が変わる
概要:不満→仮説→反転
[同人PCソフト]うみねこのなく頃に散 Twilight of the golden witch[第5話?第8話]
- 出版社/メーカー: 07th Expansion
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注意:以下、『うみねこのなく頃に散 Twilight of the golden witch』(EP8)の内容に触れています。ネタバレに配慮していませんので、プレイ後の閲覧を推奨します。
竜騎士がうみねこのEP8を見せてくれた。
メダルを集め、紫字推理して、ガキンガキンガキン。
最後までゲームを進めると、そこには一なる真実がなかった。さて、これは魔法だろうか? 手品だろうか?
『うみねこのなく頃に散 Twilight of the golden witch』(EP8)をクリアした。このEP8の評価が非常に難しい。不満と、面白さの両方があるからだ。
私はプレイして不満も募ったが、プレイ後に別の見方ができると分かると、急に面白くなった。さらに、その錯視図形のような反転構造そのものに興味が湧いてきた。
具体的に言うと、EP8は戦人犯人説を採用することで、全く見方が変わるような構造をしている。それは、レナの「嘘だっ」で一変した『ひぐらし』鬼隠し編をどこか彷彿とさせる。そこで、不満、仮説、反転の3つに分けて述べることにしたい。
不満:EP8=手品
- 真実の隠蔽
- 過去の真実にこだわるなという流れ
- EP7ラストの「幻は幻に」やハラワタからあまり新情報なし
- 4年に渡ってうみねこが展開して、犯人すら分からない
- 赤字の否定
- ラスト付近で赤字で宣言した死亡者が生き返る
- 真実を保証してきた赤字が否定されるような流れ
- 冗長な要素
- メダル集めのクイズは楽しいが、本編にあまり関係ない
- 紫字の推理ゲームは面白いが、本編にあまり関係ない
- 幻想バトルは派手だが長いし、下位世界にあまり関係ない
- 幻想の結末
- 魔法エンドは、ここに来てまで幻想描写
- 結末の中断
- 手品エンドの方はすぐ終わってしまいお茶会もなし
- バッドエンドとはいえ、すぐに終わってしまう
- 読者批判(に読める部分)
- 推理可能性に疑問 → 魔女に屈服!
- 推理をしない読者 → エサを与えられるだけの怠惰な豚!
- 推理をする読者 → 惨劇のハラワタを漁る下衆な山羊!
- 読むのを諦める → 戦いを前に尻尾を巻いて逃げる卑怯者!
- → ……どうしろと?
仮説:戦人犯人説
- 概要
- EP7でベルンが提示する次男夫婦犯人説に、戦人を加えたもの
- たとえば、次男夫婦が戦人を説得できていた、というのがひとつの展開
- 手口
- 最後は爆弾で吹っ飛ぶので、殺害手段はほぼ無制限
- 動機
- 単純な財産目的、六年の勘当による右代宮家への恨み、ヤスへの恋愛・協力など
- 多数の支持
- もともと戦人犯人説が多かった(と本編でも言われている)
- 赤字の解放
- EP1〜7の不審点・伏線
- EP8の不審点・伏線
- 冒頭で縁寿に礼拝堂の日記を見せることを拒む
- 戦人がフルハウスでいとこ組に勝利する
- → 無能に見せて最後に勝つ男
- モーターボートのシーン → 金蔵と同様に美化している?
- ベアト人格の忘却や、戦人の記憶障害の装飾表現?
- 実際は戦人がベアトを殺害している?
- 実際はインゴットだけ落ちて、それを拾いに行った?
- 縁寿に会わなかった → 記憶障害は嘘で時効を待っていた?
- 福音の家で車イスから立ち上がった → 歩行障害も嘘?
- 関連
- ヤス=ベアト=幾子説
- ベアトの入水は幻想描写(黄金のバラ→幻想)?
- 黄金を事前に換金して、別荘を手に入れていた?
- ミステリ好きなどの特徴の一致
- 幾子=19子=19年前の赤ん坊の符合
- ヤス=ベアト=幾子説
反転:EP8=魔法
- 真実の隠蔽 → 戦人の誘導
- 戦人が縁寿を誘導して真実から遠ざけている
- うみねこ4年間の最後の最後で、犯人が急浮上する
- 赤字の否定 → 赤字の限界
- 赤字は最後まで破れていないという解釈も可能では
- 死者の復活は幻想、戦人の死は人格の死
- 赤字はゲーム盤外部の現実には適用できない?
- 赤字で戦人は犯人でないとか無能とすることで、ミスリードを誘う?
- 赤字は最後まで破れていないという解釈も可能では
- 冗長な要素 → 実は関係あり
- メダル集めのクイズは戦人が縁寿に楽しい記憶を植え付けるためのもの
- アーモンドは全てのケーキに入っていて、全員で口裏を合わせた?
- 紫字の推理ゲームで、戦人犯人説を示唆
- あっさり解かせるベルンや、犯人だと言われて反応しない戦人に違和感
- 嘘が混じる紫字を使うことによって、赤字の限界(現実には適用できないこと)を示唆
- 幻想バトルは、何万人ものウィッチハンターを騙した八城十八の無双を表現したもの
- メダル集めのクイズは戦人が縁寿に楽しい記憶を植え付けるためのもの
- 幻想の結末 → 別の解釈
- 魔法エンドでの黄金郷は、縁寿が魔法に囚われたままで、戦人の勝利エンド?
- 戦人が黄金郷に行くというホラーエンドの可能性も全くなくはないか?
- 結末の中断 → 続きを予感
- 手品エンドでは、縁寿が戦人を追い詰めに行くような展開が後に続く?
- ついでに小此木や須磨寺も撃退する縁寿無双の展開も?
- 読者批判 → 作者ではなく登場人物の批判
補足:謎と疑問は残る
戦人犯人説を採用するとEP8に対して別の見方をでき、魅力的な解釈だ。物語記述者が仕掛ける叙述トリックというのは、ミステリの古典的手法のひとつだろう。
ただし、戦人犯人説によってうみねこ全EPのつじつまが合うというより、むしろ、記述者であるため赤字を始めとする制約が関係なくなる、という方が近いと感じる。やはり謎と疑問は残る。
戦人犯人説はネットにすでにあるので、今回は箇条書きで簡単に書いた。しかし、まだ解釈できる部分が色々残っていそうなので、また機会を改めて展開したい。
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