老後資金は最低限でも2千万円は必要!?
概要
生活費は月3万―5万円 自作の小屋で暮らす若者たち:朝日新聞デジタル
老後資金はいくら必要でしょうか? 先に結論を言ってしまうと、最低限でも約2千万円は必要です。一般人がイメージできる、ふつうの生活をしようとする場合の話です。
逆に、2千万円を下回るとどうなるか? 上記記事のようになります。なぜそうなるのか、くわしく見ていきましょう。
若ければ若いほど老後のことを考える必要がある
孫は祖父より1億円損をする 世代会計が示す格差・日本 (朝日新書)
- 作者: 島澤諭,山下努
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2009/04/10
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その前に軽く前置きがあります。
今の時代、若ければ若いほど、老後のことを考えて、資金を貯める必要があります。逆に、今の中高年は考えなくても、蓄えがなくてもどうにかなってきました。
だから、「若いうちは老後なんか考えなくていい」というのは、昔はそれでよかったのでしょうが、今ではウソになってきています。しかも、それは何歳以上とかではなく、若ければ若いほどいいです。二十代とか十代とかでもいい。
たとえば、成人式の講演などでおためごかしを言うのではなく、「みなさんは年金がもらえるかどうか怪しいので、準備しておかないと、老後は悲惨なことになります」とか、社会の真実を言うべきではないかと思っています。
もしかしたら、違和感を覚えるかもしれませんが、これが世代格差が生んだ帰結です。いろいろなところで言われているように、1億円以上の社会保障の世代格差があるからです。
だから、若年世代は老後資金を1億円貯めて、やっと昔の水準に追いつけるという話です。これはもう「アリとキリギリス」みたいな話ではなく、たんに政治家や官僚の失策で搾取されている、というほうが実態に合っていると思います。
しかし、本題は世代格差という社会問題ではなく、あくまで老後資金の試算なので、話を進めていきましょう。
老後資金はいくら必要か?
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老後資金の試算は上記のようにいろいろあります。細かい数字には興味がないのでかいつまんで言うと、「ゆとりある老後」は1億円必要という説があります。これをおもいっきり大ざっぱに解説すると、前述のように世代間で1億円の差があるから、1億円だろうと。これはある意味分かりやすいです。
しかし、1億円貯めるのは普通の人にとってかんたんではないので、そこまでの水準は求めないとしてみましょう。必要最小限だといくらか、という方向の試算では、3千万円が主流のようです。
それをさらにギリギリ必要最低限まで落としたのが、この記事で私が取る立場の2千万円説です。
老後資金は最低限でも約2千万円は必要
本題に入りますが、老後資金は最低限でも約2千万円は必要です。なぜ2千万円なのか?
これから試算を出していきますが、計算の前提として、まず退職金も年金もまったく期待できません。持ち家もなく(そのかわりに借金もないとします)、老後も現役で働けない場合、つまり純粋に貯金だけで生活する場合を想定します。
これはなぜそうするかというと、逆に「退職金が2千万円」「持ち家(評価額)が2千万円」などと資産を想定してよいのでは、「最低限必要」という意味にならないだろうからです。
だから、「年金が破たんするか、しないか」といった議論もここではしません。年金がなかろうと、退職金がなかろうと、持ち家がなかろうと、「最低限これだけあれば」の数字です。
ではまず、生活するには住むところが必要なので、1ヶ月の家賃3万円のアパートを借りるとしましょう。これだけでも、1年で36万円、10年で360万円、25年で900万円、30年で1,080万円。だから「住」だけで、老後資金の半分を使ってしまいます。
そして、電気・ガス・水道などの公共インフラ代、食費や衣料、日用生活品などの出費も3万円だとします。これはたとえば、食事は生存に必要なカロリーと栄養を取るだけといった、かなり質素な倹約生活になるでしょう。
すると、同じ20〜30年でもう1千万くらいかかるから、合計2千万円。「最低限で2千万円」というイメージです。
もちろん、これは概算なので、実際には100万円くらいかんたんに誤差が出るでしょう。いくら必要かの目安を分かりやすくするための数字です。
それから、この2千万円は娯楽などの費用を考慮していない必要最低限のものです。また、インフレによる試算の目減り、病気や災害などによる出費も考慮していません。ようするに、まったく余裕がない綱渡りの老後です。2千万円さえあれば大丈夫、という保証ではないのです。
そうではなく、「健康で文化的な生活」をしたい場合、あるいは不意の出費にも余裕を持って備えたい場合、そのぶんをもう1千万円積んだ、3千万円は欲しいでしょう。
たとえていうと、パソコンなどの動作スペックに「最低動作環境」と「推奨動作環境」がありますが、2千万円は「最低動作環境」のほうです。推奨のほうの基準は、一般的に言われている3千万円だと、私も同様に考えています。
さて、ここでの「最低限」というのは、普通の人がイメージする最低限の生活です。あるいは、メーカが公式に動作を保証する「最低動作環境」のようなものです。だから、それを下回っても予想外に動く場合があります。ではもし、下回るとどうなるか? 最後に見てみましょう。
老後資金が2千万円を下回るとどうなるのか
生活費は月3万―5万円 自作の小屋で暮らす若者たち:朝日新聞デジタル
締めて月3万〜5万円ほどの出費だ。
2千万円が最低限というのを逆に考えると、老後資金が2千万円を下回るとどうなるのか? 冒頭でも挙げましたが、上記記事のような生活になります。
ここで重要なことは、この生活でも1千万円台の資金は必要ということです。たとえば食費が必要ですからね。
生活費が1ヶ月3万円だと1年で36万円、10年で360万円、30年で1,080万円。これが4万円だと1,440万円、5万円だと1,800万円。
だから、2千万を下回るとこういう生活になるというのは、よろしいですね?
老後資金2千万を下回ると、このような生活を送るんだというイメージを持たれると、貯金する動機になるのではないかと思われます。以上、あくまで前向きにポジティブに生きるための紹介でした。
付録:老後資金2千万円以下の可能性は追求できないのか?
朝日新聞の記事は格差社会の象徴のように思われるかもしれませんが、記事に取り上げられた方(かつや氏は上記ブログを書かれています)は、意図的に生活費を抑えて暮らそうとしています。
最近では「ミニマリスト」「ミニマルライフ」「スモールハウス」「タイニーハウス」とか、そういうクラスタに分類されるでしょうか?
そういう人が試みているように、じつは、老後の生活資金2千万円以下の可能性を追求する道もありえると思います。ただ、普通の日本人が想定する「最低限」を突破する必要はあると思いますが……。
私はすでにそれを知っていますが、いきなりそれを前提に考察を始めると、前衛的すぎて普通の人がついてこれないのではないかと考えました。またひとつの記事に詰め込み過ぎると読みにくいので、ミニマリズムの可能性については、また別の新たな記事で考察したいと思います。
ここではさしあたり、「Bライフ」を提唱している高村友也氏の書籍を紹介しておくにとどめます。
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