本当は怖い『ドラゴンクエスト』〜「ロトの勇者」創作説〜

概要

ドラゴンクエストIX 星空の守り人

ドラゴンクエストIX 星空の守り人

(※以下展開する物語は、実際のゲーム内容と異なります。また、ゲームの内容に一部触れています。


誰もがその名を知っている国民的RPGドラゴンクエスト』(以下『ドラクエ』)。ここでは、1〜3作目の有名な「ロトの勇者」伝説について、実は後世の創作だという仮説を立てます。もちろん、公式な正史ではなく、非公式の偽史に過ぎませんが、「謎本」系の読み物としてご覧下さい。

考察

創作説の前提

最初に、創作説を立てるための足場を確保しておく必要がある。それは、ゲームプレイの内容が、必ずしも事実とは限らない、という前提だ。これが認められなければ、後続の議論は成り立たない。

ドラクエ』の前に、『ロマンシング・サガ2』を見てみよう。このゲームは冒頭で、吟遊詩人が酒場で語り始めるところからスタートする。ということは、ゲームプレイの内容は、詩人が語ったもので、直接の事実ではない、という解釈もできるはずだ。これはいいだろう。

ゲームプレイの内容は、事実と異なりうる。帝国・皇帝側の視点で詩人は語るが、もしかすると、都合の悪い部分を改ざん、あるいは意図的に語り落としてるかもしれない。たとえば、七英雄は半人半獣の姿で描かれているが、事実は普通の人間かもしれない。敵役を強そうで悪そうに描くわけだ。

これを『ドラクエ』にも適用してみよう。ここでは、『ドラクエ』のゲームプレイは、たとえば酒場で吟遊詩人が語るような、伝聞・伝承だとする。それは『ドラクエ』世界の現在から、過去を振り返って語っているので、必ずしも事実とは限らず、解釈の余地があるということだ。

ドラゴンクエストI』創作説

この記事で重要なのは、説の内容自体よりも、そもそも創作説がありうるという着眼点だ。そこで、創作説自体は、箇条書きで簡単に示す。仮説は他にも色々立てられるだろうし、前提を認めない人にとっては、何を書いても虚偽でしかないからだ。

  • 仮説1:『ドラクエ1』の主人公は、ロトの勇者ではなかった。
    • ロトの勇者が竜王を倒したのではなく、竜王を倒した者を事後的に勇者とした。
    • 後付け方式なら「ロトの勇者が竜王を倒せない」事実が生じず、権威を保てる。
  • 仮説2:ローラ姫は竜王ではなく王様が幽閉した。
    • 血筋がどうのこうのと、色々理由付けできるところ。
  • 仮説3:世界を半分与えると約束したのは、竜王ではなく王様だった。
    • 王様にしてみれば、竜王さえ片付けば、後はどうにでもなる。
  • 仮説4:勇者が自発的に旅立ったのではなく、王様が追放した。
    • 約束を反故にした。城の兵士が口裏を合わせれば、外部に嘘がばれない。
  • 仮説5:勇者が殺されなかったのは、ローラ姫がついていきかばったため。
    • このあとの展開は、王様が孤独な晩年を送るか、権力争いで滅びるか。
ドラゴンクエストII』創作説
  • 仮説1:世界を危機に陥れたのは、ハーゴンの攻撃ではなく、王子達同士の大戦。
    • 理由は、よくある継承者争い。後世に伝えたくないので、協力したことにした。
  • 仮説2:ムーンブルクの王女は、死亡もしくは身柄を拘束されていた。
    • 死体が見つからず、幽霊の噂が立ち、それが犬の話へと形を変えていった。
  • 仮説3:「ロンダルキアの大地」は実在しなかった。
    • 外部との交流がほぼない土地なので、存在を証明するものは勇者達の証言のみ。
  • 仮説4:シドーは実在しないが、ハーゴンは実在した。
  • 仮説5:実は王子達の争いを仲裁しようとしたのが大司教ハーゴンだった。
    • 王子達にとって邪魔なので、邪神を崇める狂信者として、排除された。
ドラゴンクエストIII』創作説
  • 仮説1:オルテガカンダタは同一人物だった。
    • (FC版原作は)色違いの同じグラフィックだったから、当時そう思った人もいるはず。
    • 「とうぞくのかぎ」は、カンダタが自らの子供である勇者(=盗賊)に与えた。
  • 仮説2:世界各地の事件の黒幕は、カンダタと勇者(盗賊)一行だった。
  • 仮説3:ゾーマは実在しないが、バラモスは実在した。
    • カンダタ一味を退治する、国際警察のような立場の人間だった。
  • 仮説4:アレフガルドも実在したが、バラモスは倒せなかった。
    • 勇者一行は、ゾーマを倒しに行くのではなく、バラモスから逃げた。
  • 仮説5:カンダタか勇者が、紆余曲折を経てアレフガルドを統治した。
    • アレフガルドは未開の地で、実際は軍事技術力が低く、占領することができた。
    • ちなみにロトシリーズの装備は、事後的にロトの呼称を得た量産品の武器。

結論

創作説には違和感を覚えて、やはりゲームプレイのあの物語こそが、真実のように思えるかもしれない。だとしたら、RPGの物語は素朴に信じられる、という側面がやはりあるのではないか。これは、RPGイデオロギーのライトな代替になる、という以前書いた記事(関連記事参照)の補足になっている。