ネオエクスデス的アートの補足

ネオエクスデス的アート


コメント欄でも書いたんですけど、下で言っている「ネオエクスデス化」というのは、「対象Aが(実は)、より小さい単位Bの寄せ集めで構成されている」というだけの単純な話なんですが、20世紀アートの主流だと思います。絵画で言えばピカソのようなキュビスム(一つの絵が複数の平面の寄せ集め)、音楽で言えば無調性やポリフォニックな音楽でもいいですが、リミックス(一つの曲は異なる曲・音源の寄せ集め)が分かりやすいでしょう。MADや黒FLASHは動画のリミックスです。FLASHAjax(Javascirpt)もオブジェクト指向言語で、オブジェクトの寄せ集めです。


ネットでAA (ノ∀`) ←こういうの を見るでしょうが、一つの絵が複数の文字・記号で表現されていますね。そういう表現に慣れているから当たり前に思うかもしれないけど、写実的な油絵とは違います。いや、本当は油絵だって筆のタッチの水準があるわけで、ゴッホなんかはそれを強調するわけです。印象派の点描でもいいです。山下清の貼り絵でもいいです。ウォーホルのあのドットを強調した作品でもいいです。見た目は違うけど、全部同じことです。違うレベルの話になるけれども、映画は絵画や音楽を合体させましたし、漫画は複数の絵をコマで連結しています。アニメは24(30)コマを動いているように見せてます。ゲームはもっと寄せ集めです。ついでにネットも寄せ集め(ハイパーリンク)ですし、祭り(型コンテンツ)もコミュニケーションの寄せ集めです。


そういう表現は進化の袋小路のような奇形化ではありません。むしろ原点回帰です。もともと普段見ているTVやこのPCのモニタだって小さい点から構成されているわけですし、国家だって国家という人格があるのではなくて(そう見えるけど)、国民が寄せ集まっているわけですよね。もちろん人間だって社会的な一人の人格として扱われるけど、実体は細胞の寄せ集めです。ついでに細胞は原子から出来ていますが、その下に素粒子があります。そんなのいつの時代もそうだろう、と思うかもしれませんが、100年1000年単位で見れば昔はそういう世界観ではなかった。壁画の宗教画とかありますが、神の恩寵とかスケールのデカイ視点(大きな物語)なんじゃないですか。


でもこの感覚はよく分からないかもしれない。何を言おうとしているのか分からない人のために、最後に実感に立ち返ってもう少しだけ説明します。(以下ネタバレが多い)ネオエクスデスダライアスは同じだと思います。だって、あの魚のような外見は機械の意匠であって、本当に魚ではないんだから。もう少し続けます。例えば、『ナイトメア〜』のブーギーウーギーは、実体が虫だったという落ち「ではない」んですよ。*1その虫を操っている「何か」が実体でしょう。いや、設定は知らないですけど、分散コンピューティングのように動いているんだ、と勝手に解釈することはできます。


デビル・メイ・クライ』のラスボスは単なる石像ではないというのは誰でも分かると思います。でも石像が崩れて中からウネウネした触手が出てきて、その触手が実体なんだというわけでもないでしょう。そうではなくて、それを操っている形而上的な「何か」が本体でしょう。これも設定とか知らないですけど。この理屈は『ヴァンパイア』のパイロンとかと同じです。ハルヒの統合思念体云々も同じことが言いたいんでしょう。われわれは表面的なイメージ(顔とか)とその対象を同一視しているけど、実はそのイメージは偶然的なもので、実体は目に見えないということです。ネオエクスデスはあのモンスターたちではなくて「無」が実体なんです。


あーやっぱり何が言いたいか分からないかもしれない。もどかしい。何と言うのかな…「より粒度の小さいモジュール、更にはその呼び出し方組合せ方が実体だった」みたいなことなんですが。細かい粒度で見るのが20世紀の流行なんです。映画自体が映像と音楽の合体ですが、更に詳細を見ると、映像は更にクローズアップやモンタージュに分解されるし、音楽はシーンごとの効果音に分解されます。クロスカッティングみたいな技法は小説(フローベール)から来てますけど。神は細部に宿る、です。あるいは、キャラというレベルの下に猫耳とか萌え要素のレベルがあるみたいな。その分解と組み合わせで可能世界が開けるわけです。


追記:ホロン
ホロン −コミュニケーション存在−


ホロンとか、あとモナドとかも同じ構造ですね。凄い大雑把な話ですけど。それとドゥルーズの脱領土的で欲動の機械的な流れが云々〜みたいな難解な話も、要するに同じような話だと思っています。集合的無意識とか人類補完計画みたいに「みんなでひとつ」みたいな発想が、マルチチュードにもなるしweb進化論の集合知にもなるのでしょう。羅列ばかりで論理が雑なので、追記じゃなくて後でもう一個ちゃんとした記事を立てたいですね。

*1:ディレクターズカットがあるらしいですがそれとは別の話