キャラクターの流動性選好説

素朴に考えて、薄くて割高な同人誌を買う動機はなんだろうか。
交流の要素もあるが、ダウンロード同人ではそれがない。
まず思い浮かぶのは、原作では媒体上できないエロがあるから、
それが購買力になる、というものだ。ただし健全・創作もある。


では原作がエロも含めて、豊富に続編を供給した場合、
同人は商売あがったりになるだろうか。そうは思わない。
パイの奪い合いにはならず、リードの法則のように
ますます需要を呼び込むのではないだろうか。


同人は原作の代替物ではない。劣化コピーではなくプレミアだ。
企業が同人を放置してるのは、パイの奪い合いにならないから
というのが最大の理由だろう。代わりに中古は激しく攻撃する。
(ただし、同人の規模が大きくなるにつれて、そうでない例も)


しかしでは、「二次創作」の「創作」の部分、つまり各同人作家の
作家性によってプレミアが生じているのだろうか。そうは思わない。
プロ壁を除けば、サークルよりも、ジャンルの効果が大きいだろう。
要するに、プレミアは、キャラクターが別の絵で描かれていること。


このプレミアを、キャラクターの流動性として、解釈したい
キャラクターは、各同人作品の登場人物に交換することができる。
貨幣と違って「キャラクター自体」を保存できないので、多種の
商品によって流動性を実現する。そのために割高な商品も買う。