映画『パラノーマル・アクティビティ 第2章/TOKYO NIGHT』 ――世界中でヒットした疑似ドキュメンタリーホラー

概要

パラノーマル・アクティビティ第2章/TOKYO NIGHT [DVD]

パラノーマル・アクティビティ第2章/TOKYO NIGHT [DVD]

情報
紹介

制作費135万円で世界180億円を稼ぎ、日本でも6億円の興収を記録する大ヒットとなった『パラノーマル・アクティビティ』の正統続編。
次なる舞台を東京に移し、新たな恐怖が幕を開ける!

物語(あらすじ)

注意:以下、ネタバレあり)

東京の閑静な住宅地に住む山野家。27歳の長女、春花は旅行先のアメリカで交通事故に遭い、両足を複雑骨折して車椅子の姿で帰国する。浪人生で19歳の弟、幸一はそんな姉に買ったばかりのビデオカメラを向けて出迎えた。
ほどなく、車椅子が朝になると移動したり、お払いの盛り塩が踏み荒らされたりなどの怪事件が起こる。ただならぬものを感じた幸一は嫌がる春花を説得し、ビデオカメラを春花の部屋に仕掛け、そこで起こる出来事を撮影することに。
しかし、そこに潜む“何か”は幸一の想像をはるかに超えていた。深夜に響くラップ音、食卓で突然割れるコップ、霊感の強い友人を怯えさせるほどの異様な空気……。
陰陽師を家に招き、お祓いをしてもらったことで超常現象は一時的に収まった。しかし、再び起こったそれは春花や幸一の身に直接、危険を及ぼすことになる。
やがて明らかになる驚くべき事実。超常現象を引き起こすものの正体とは? 幸一と春花はこの現象から逃げ延びることができるのか?
撮影を始めでから15日目の夜、想像を絶する“パラーノマル・アクディビティ”が姉弟の身に容赦なく襲いかかる!

解説

世界中でヒットした疑似ドキュメンタリーホラー

 『パラノーマル・アクティビティ』というのは、疑似ドキュメンタリー形式のホラー映画だ。要は『ブレアウィッチ・プロジェクト』のようなホラー映画だ。日米それぞれで第2作が作られている。本稿ではその日本版を取り上げる。

 疑似ドキュメンタリーというのは、Jホラーも取り入れている手法だ。だから、海外からの輸入作ではあるが、Jホラーの流れから外れているということもない。むしろ、より凝縮されているくらいに感じる。

 じつは、疑似ドキュメンタリー形式というのは、見る側にとっても賭けの側面がある。というのは、普通のホラー映画なら、怖くなくても、ストーリー部分でそこそこ楽しめるようになっているだろう。

 それを意図的に拒否している疑似ドキュメンタリーには、そうした怖くなかったときの保険が掛かっていない。だから、怖くなければ後に何も残らない。怖いか、怖くないかのどちらかだ。

 しかし、本作は怖い。とくに終盤が怖かった。その恐怖というのは、事件の記録映像を見たときのような出来事が起こりつつある現場を目撃したこと、それが身近に起こりうると想像できること、それらに由来するものだ。

 最後の最後で派手な演出も見られたが、それまではラップ音のような日常の恐怖を描いている。ゾンビだとか明らかなモンスターが襲ってくれば、われわれの日常とは異なる非日常になってしまう。が、日常の恐怖なら、現実でも起こりうるかもしれない、という想像を許す。

 疑似ドキュメンタリーは、事件性を描きやすい。要するに、「堂々とヤラセができる心霊番組」のようなもので、それまでの反則をルールに組み込んで再構築している。といって、いきなり突拍子もなく、怪現象が起こればいい、というものでもない。

 本作は、環境作りを周到に進めている。とくに、姉が骨折していて動けない、という伏線はきわめて重要だ。骨折しているのに2階で寝るのは不自然とか、夜中に外に出てすぐにタクシーが拾えるのは都合が良いとか、細かい突っ込み所は色々あっても、とくに大きな問題ではない。

 ただ、ドキュメンタリー志向なのはいいが、民放のドキュメンタリー番組のような、口ゲンカをするシーンが頻出する。不和によってリアリティを出そうとするのは分かるが、ややうるさかった。

 また、怖くても途中で退屈するのではないかとも思った。が、全く何も起こらない場面は早送りすること、普段は画面を固定していてカメラが揺れないこと、寝る場面では画面を2分割して切り替えを少なくしていること、といった配慮がされている。意外と疲れなかった。

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