セミナー「30歳からのキャリアに差が出る! コミュニケーションの図り方」(ジョブナス)

概要

2010年6月22日(火)、東京・赤坂の会場で、ジョブナス事務局とPR TIMESが、第4回目ジョブナスセミナー「30歳からのキャリアに差が出る! コミュニケーションの図り方」を開催した。

セミナーでは、株式会社セレブレイン・代表取締役の高城幸司氏が、組織内をマネージメントし、組織外からコンセンサスを得る、職場コミュニケーションについて講演。

さらに、IT企業のウイサーブから阿部氏を招いて高城氏との対談、来場者とディスカッションや質疑応答が行われた。実際に聴講してきたので、会場の模様を詳しくお伝えしたい。

コンセンサス型コミュニケーション

セミナー前半は、高城氏の講演。高城氏については、以前のセミナーレポートを参照して頂きたい。

高城氏によると、30代からの職場コミュニケーションでは、「主体者としての対話」が求められるようになるという。ただ言われた通りにやるだけではなく、後輩の指導や外部との交渉などで、会社の方針を伝える側に回るためだ。

  1. 「瞬時にとけこむ」
  2. 「伝える」
  3. 「同意を得る」(コンセンサス)
  4. 「信頼を獲得する」

すると、上記の達成が必要となる。とくに今回の講演では、「コンセンサス」がキーワードになった。コンセンサスを得る力は、組織をマネージメントする力につながるので、管理職を目指す上で重要になるというわけだ。

さらに、コンセンサスを獲得するためのコミュニケーションが、上司から部下への一方通行のコミュニケーションと対比されてもいる。

とくに今回は30代がテーマの対象になっており、後輩を指導する場合は20代が相手になる。現代の20代は、仕事に昔と異なった価値を求めているので、「自分の仕事」だと感じさせるようなコミュニケーションが重要になる、という話の流れだ。

会話に「タグ」をつける

コンセンサスの獲得を目指すときに、大きな方針となるのが下記の三ヶ条。

  1. 「最初はお互いに相手の立場を尊重」
  2. 「伝えたいことの理由や背景を伝える」
  3. 「大局的な見地から徐々に詳細に」

「伝えたいことの理由や背景を伝える」ことについては、会話に「タグ」をつけて整理することだと喩えられた。どういうシチュエーションで話を進めるのか、たとえば聞くだけ聞いて欲しいのか、判断を求めているのか、といったことだ。

仕事でのコミュニケーションはつねに目的があるので、最初にその目的を伝えておくと、相手が意図をつかめなくてイライラせずに済む。「(目上への)報告は結論から話せ」ということも、セミナーの中で言われている。

さらに、より具体的に「部下とコンセンサスを実践するセオリー」として下記が示された。

  1. 「Introduction」
    • 「状況や環境(Why)を大局的な視点で客観的に説明し、質疑を通じて理解を得る」
  2. 「Intention」
    • 「課題の内容(What)を説明し、方向性を相談する」
  3. 「Instruction」
    • 「目指す目標の達成方法、行動計画(How)、スケジュール(When)について相談し、必要なアドバイスを行う・指導する」
    • 「納得いくまで徹底的に訊く(Ask)ことも大事」

指示には価値観を交えず、客観的・具体的に

高城氏は、分かりやすく伝えるには、具体例を示すことが大事だ、ということを語った。

  • 「なるべく早く提出してください。」
    • →「今週金曜の17時までに提出してください。」
  • 「ちょうどいい大きさの封筒を用意してくれる?」
    • →「A4の資料を一部折らずに入る封筒を用意してくれますか。」
  • 「話すスピードは、少しゆっくりの方がいいね。」
    • →「話すスピードは、アナウンサーがニュースを読む速度でお願いします。」

これを受けて、受講者に問題が出されている。

問題

後輩の机の上がいつも散らかったまま
それでも平気で仕事しています。
今日も、机の上にパソコンだけじゃなく
名刺やお客様から預かった資料を放置
したまま帰ろうとしています。

こうした状況では、どう発言するべきか? 相手が帰ろうとしている状況だから、1時間説教したりせずに、できれば数分で簡潔に済ませたい。高城氏の答えは、以下の通り。

  1. 「机の上にはパソコン以外置かないで欲しい」
  2. 「というのも、情報流出などで損をするのはAさん(相手)だから」
  3. 「どう思う?」(同意すれば成功)

この解答は、次の3ステップを踏んでいることがポイントとなる。

  1. 具体的に指示する
  2. 理由を説明する
  3. 同意を得る

高城氏の解説で意外だったのは、「価値観を交えない」ということ。会場から寄せられた回答には、職場の価値観や相手への配慮を伝える意図のものが多かった。

たとえば、「机の上、やばくね?(状況を示せば、自然と理解できるだろうという期待)」「もしかして、仕事大変?(片付ける時間がないかもしれないという配慮)」といった言葉が、回答の中に見られた。それは、相手が自発的に応えることを期待して、指示自体は婉曲に伝えるという、日本のコミュニケーション文化を反映しているだろう。

しかし、現代では若年層の価値観が多様化しているため、それでは思うように伝わらない場面が出てくる。それに、外国人が職場にいることも、今では珍しくない。外国人に対しては、価値観を共有している前提が成り立たない。

そこで、具体的に指示を出す必要があるだろう。しかし、ただ指示するだけでは、相手が納得行かないこともあるので、相手の立場で理由を説明する。これは、自分の立場からの主張を弱めることとは全く違う。そして最後には、相手の同意を引き出す。

高城氏は「価値観で伝えるのは難しい時代」と言う。そのようにして、時代の変化に対応した職場コミュニケーションが伝授された。

高城氏×阿部氏 対談会

後半に入ると、株式会社ウイサーブ・担当部長・阿部氏が登壇し、ウイサーブ社について紹介した。それによると、同社は独立系SIerで、幅広いシステム設計・開発・運用を行なっているという。同社の詳細については、公式サイトを参照して頂きたい。

その後、高城氏と阿部氏が対談した。高城氏が面接の現場について質問すると、阿部氏は「面接の時に、視線を合わせない人を見かけます」と答えた。面接では、発言の内容だけでなく、ボディランゲージも重要になるようだ。

阿部氏は対談の締めくくりに、「弊社(の技術者)は、技術があって当たり前。その上でお客様が何を求めているか、理解する能力が必要になります」と、コミュニケーションの重要性を示した。

一方の高城氏は、「親や先輩との関係が欠落してきて、昔は当たり前だったコミュニケーション能力が、今では武器になる。30代からの差別化になる。これが今日のテーマです」とまとめた。

最後に、高城氏・阿部氏と会場との間で、ディスカッションや質疑応答が交わされた。その中で阿部氏が、エンジニアだという質問者に対して、「あなたのような人材が欲しい」「公式サイトの(代表からの)ビデオメッセージを見て頂きたい」と発言して、会場を和ませる一幕も。

ジョブナス

セミナーの主催元の求人サイト「ジョブナス」では、ウイサーブ社の求人情報も掲載されている。ジョブナスの詳細についても、前回の記事を参照して頂きたい。

感想

記事の最後に、私の感想を述べたい。高城氏の話には、今回も感心した。まず、いかにも現場でありそうな問題を出す。じっさい、会場からも「(あるある)」といった感じの笑いを誘うほど。

その問題に対して、ツボを突いた解答を用意してくるので、思わず同意してしまう。仕事だからといってもお互い人間なので、言い方ひとつで全く違った展開になることはよくある。コミュニケーション能力の重要性は実感しているので、このセミナーは大変参考になった。

また、説明が煩瑣になるので省略したが、「ダイバーシティ(マネジメント)」「ボスマネジメント」など、アメリカの新しいマネジメントの潮流にも、高城氏は少し触れていた。今後のセミナーでは、また違うテーマに斬り込んでいくだろう。

今回は会場との交流が用意されている。これは一方通行にならない工夫であり、今日の趣旨にも沿う。現に、教育関係の会社の方が、たまたま隣の席に座っておられ、興味深い話を伺ったという経験をした。やはり、実際に会場の空気に触れると、知識の吸収力が全く違うと感じる。

第5回ジョブナスセミナー「20代で身につける! 営業力の高め方」の開催が予定されており、下記のページから申し込めるので、この記事でご興味を持たれた方は、ぜひご覧頂きたい。

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