細部からの変革

弱者からの革命 - jkondoの日記

腕が欲しい、視覚が欲しい、という要請はあまりに切実である。(……)インターネットも同様に人を救っている側面があると思う。(……)さまざまな弱さを抱えている人にとっては無くてはならないものになりつつある。

主張そのものは高邁な思想で素晴らしいと思います。結論も全く賛成です。

が、もしそのように重要なものであれば、サービスが重かったり落ちたり障害が起きるという事態はまずいでしょう。交通機関が遅れると多くの人に支障が出ますが、Webサービスが使いにくかったり、使い方が分からなかったりすると、多くの人の活動リソースを奪います。

はてなブックマークはエクスポートができてもインポートができません。両方できればローカルで文字列処理して、タグ・コメントを整理できるのですが……。エクスポートが可能になってから一年半くらい経ちますが、はてなから他のSBMサービスに移れても、はてなへは移行できない不思議な状況が続いています。

こんなことを言うと、人を褒めろ、粗探しするな、と怒られてしまいそうですが、対になって意味があるものが片方しかないと、片手で拍手することは大変むずかしいのです。別に揚げ足を取りたいのではなくて、それほど社会的意義があるのであれば、地味な部分の確実な進歩も欲しくなります。

たしかに「はてなスター」はダイアリーで目立って活躍していますが、表だけでなく裏の部分も重要でしょう。たとえば、ダイアリーの記事一覧*1が遷移なしのAjax化していますが、そういう進歩です。

はてなダイアリーは日本のブログサービスでは古参なので、先見の明があったと言えますが、その先行性は永続的なものでもないでしょう。はてなはユニークなサービスが売りという話ですが、たとえばお絵かき機能は最近FC2ブログにもつきました。

だから「置いてきぼり」にするほど他に先行しているのかどうか分かりません。むしろ、はてなの内側に「置いてきぼり」にしてきた部分があるのではないかと思います。

株式会社はてなには、「はてならしいサービス、世の中に無いようなサービスを構想し、企画、開発、運営を」行う、「いわば『ウェブサービスの作家』のような」「サービスクリエイター」という職種があります。

そのようにして、はてなのサービスは「誰もが驚くような新規性のある発想を思いつく」作品になっています。しかし、最初の引用にあるような切実な実用品として、「誰も気付かないような実用性のある部分を高めていく」部分も重要でしょう。「神は細部に宿る」と言うように、細部まで含めて「ものづくり」なのだろうと思います。