「グズの人にはわけがある」

時間管理がヘタなのは、心が影響? - モチベーションは楽しさ創造から

  1. 先行タイプ
  2. お人好しタイプ
  3. 完璧主義者タイプ
  4. 先送りタイプ

グズの人にはわけがある (文春文庫PLUS)

  1. 完璧主義者
  2. 夢想家
  3. 心配性
  4. 反抗者
  5. 危機好き
  6. 抱え込み

時間管理と心理傾向を結びつけるのは、「今まで考えてもみなかったユニークな視点」というほどではなく、自己啓発本のジャンルではありふれた手法だ。(はてブではよく見かけるが)GTDが21世紀に入ってからの手法だから、新しいというより先祖返りだと言える。私は「グズ系本」と呼んでいる類書は内容がやや似ており、別に他の本でダメということもないのだが、上の本は十年近く前*1に出版されてまだ売れているようだから、自分の類型を知りたい人は読んで損はないだろう。私は文庫化される前に読んだが、やはり文庫の方が安くてお得である。

もちろん、個人の力では変えられない職場環境が重要な要素ではあるが、個人の心理傾向もあるだろう。簡単にまとめれば、なぜ先送りしてしまうかというと、動機形成が下手なのである。完璧・夢想・心配・反抗・危機・抱込という六つの傾向*2は、動機の方向音痴を類型化したものに他ならない。リンク元の記事*3の、「完璧」は「完璧」、「お人好し」が「抱え込み」、「先行」が「心配性」、「先送り」は残りの「夢想家」「反抗者」「危機好き」にあたるだろうか。「グズ」は先延ばしのことなので、先送り癖を中心に解説している。

これは私の解釈が少し入っているが、完璧は喜び、夢想は楽しさ、心配は恐れ、反抗は怒り、危機は自信過剰*4、抱え込みは自信過小*5、という風に、増幅した感情が影響していると考える。つまり、ファーストフード的な高カロリー*6な動機ばかり欲しがると、脂肪がついて身軽でなくなる、というようなことだろうか。しかしもちろん、一般的に作業は感情的にならず淡々とやらないとムラが出る。それをどうすればいいかは本に書いてある。

最後に、「そんな読んだだけで上手くいくわけないだろう」という疑問にも答えておこう。もちろん、一冊読んだだけで問題が解決するわけはないが、この種の本を読んだことがないのなら、一度は洗礼されてもいいだろう*7。絵や音楽でもデッサンの歪みや音程の外れを直すのには、長い時間を掛けて訓練する必要があるが、それと同じことである。そしてこの本は、まず動機の音痴であることに気付くための本なのである。

関連書籍

*1:文庫化される前の元になる本は98年

*2:別に五つでも七つでも、分類は恣意的だと思うから、この数字に意味はないが

*3:あまり関係ないが、「スティーブン・バークラス」は「スティーブン・バーグラス」では?

*4:他の普通の人間ではできないようなやり方でやろうとする

*5:見捨てられ不安から進んで雑用を引き受ける

*6:高リビドー

*7:もちろん、くだらないと投げ捨ててもいい