年末アニメ雑感
以前の雑感
今まで書いてきたことを繰り返しそうなので、リンクを貼って簡単に済ますことにします（逆に言うと簡単でも総括は済ませておきたい）。以下では、書ききれなかった差分だけ書きます。
バランス
要素を詰め込めば詰め込む程、作品が面白くなっていくとは限りません。要素の消化不良だと感じたのが「夜明け前より瑠璃色な」です。終盤の政治ゲームは、会話シーンが単調だったりして、リアリティに欠ける薄っぺらい印象がありました。話題になったのはキャベツでしたが、最終回でも窓をブチ破る特殊部隊が脚を揃えて突入していたりとか、何か細部が微妙に面白いし。惑星間のスケールを出すには安定した作画や綿密な脚本が必要でしょう。「あさっての方向」は、スケールは大きくないし要素は多くないけど、会話は単調ではありません。例えば夕方の砂浜で走り出したり、夜の部屋で電話で話したり、カメラも感情に合わせて変化をつけていきます。
逆に要素が不足してしまう場合もあります。「NHKにようこそ」は2クールやるなら、ひきこもりとオタクネタ以外にも何か欲しいところです。原作からしてそうですが、「NHK」が妄想に過ぎないことが明らかなのが物語の求心力としては弱いです。序盤とあと最終回だけハルヒみたいに妄想が実体化してもまだ弱い。ドラマより「痛さ」が売りなのは分かりますが…。映画「ゲーム」のように最後の方まで虚実皮膜の表面張力で引っ張っていって欲しい。アニメだと「千年女優」とかああいう演出になったりするかも。個人的には1クールで話題になっている内にハッタリ的に駆け抜けた方が印象が濃いのではないかと思います。例えば、第一話の冒頭はもちろん最終話を暗示していますが、毎回ダラダラ話が進む内に視聴者が忘れている気がします。ただ終了直前の代アニを舞台にしたところだけは神懸り。
リアリティ
「スーパーロボット大戦OG」はなぜ迫力を感じないのか。まず3DCGの、モデルの造形はともかく、動きが不自然なのが大きいと思います。しかし更に、ここでもバランスが関係してきます。外見はバリバリの3Dなのに、コックピットは2Dだったりするので、ロボットに乗っている自然な感覚までもが失われてしまうという問題があります。人物も線がクドめなので、CGとの絵的な相性が良くないかも。過去の「トランスフォーマー」などでは完全に3Dだったのでそういう齟齬はありません。「ゾイド」も、人物がパキッとした絵柄なので、さほど違和感はありませんでした。
「コードギアス」はややリアル寄りですが、いったい何がリアルなのかというと、熱血的精神論ではないところがリアルなのです。つまり、どんなに精神が純粋で高邁だろうと、物理的に負けてたら負けるという唯物論的な暗黙のルールを基本にしています。更にここがラーゼフォンとか、セカイ系のロボットアニメの流れとの違いです。エヴァも「暴走」など他のロボアニと色々差別化するんだけど、「シンクロ率」という形で、精神＝力の構造を継承しています。「武装錬金」など少年誌系のバトルマンガでも想いの強い奴が最終的に勝ちます。ただし、唯物論を推し進めれば、組織に属していない主人公は物量で必然的に負けるはずなので、催眠術（ギアス）が使えるという部分とC.C.の援助によって、ピンチをいつも切り抜けます。
コントラスト
「くじびきアンバランス」は、好きなギミックだけ放り込んだという感じで、設定のバランスが悪いのですが、ここではバランスの悪さがオタク的カスタマイズの魅力になっているかもしれません。それにバランスは悪いですが、対比があるために単調さは免れています。例えば、最終話で律子が兜を脱いで素で話すときに、非常に変身感がある。「あさっての方向」の大人-子供よりあるかもしれない。この距離感の変化は、「夜明けな」よりも上手く描けています。惑星と生徒会というスケールの違いが問題なのではなくて、画面上の表現でそれ（例えば主人公とヒロインの距離）が示されているかが重要なのです。
「ギャラクシーエンジェる〜ん」は、密度が薄くテンポが悪いという印象がありました。毎回話を半分に圧縮して、もう1パートやれそうな感じです。「電脳組」のすずめとか「エクセルサーガ」のエクセルみたいな、高速まくし立てメソッドを用いて、散漫な箇所は圧縮してしまえば良いのではないかと思います。あと話の先がわりと常識的で想定の範囲内なのが、以前のシリーズに比べて退屈です。最終回に関しては、最近のブロッコリーは年齢差を出すのが好きなのか、姉妹のプライベートがそれまでの本編とちょっと違った空気を出していて、少し新鮮な印象がありました。これも対比の効果ですね。ところでシャーベットのキャラに注目していたのですが、他の隊員に比べてキャラクターCD売れてないみたいです。平野綾が突出して売れているわけでもないので、単純にロリ声じゃないとか、そういう部分が大きいかも…。
