希望格差ハード〜PS3が6万円で買えると思ったら甘い理由

xbox化するPS3

A:E3速報--価格発表で拍手消えたPS3 (デジタルエンタメ天気予報):NBonline(日経ビジネス オンライン)
B:SCEのスタッフに問いたい -「あなたはPS3を発売日に買いますか?」:Slash Games (オンラインゲーム総合サイト)
C:3DゲームファンのためのPS3の“真意”講座〜PS3は"ゲーム機"ではなくコンピュータとして訴求されるべきである
D:【楽天市場】SONY Play Station (プレイステーション):アットワールドオンラインショップ


Aの記事の副題に「普通に遊ぶと9万円コース」とありますが、これは60GB版PS3+周辺機器+ソフト一本という計算ですね。もちろん通常版はオープン価格ですが、「実勢価格は7万3000〜7万5000円になるでしょう。」と予測されています。いや、例えばHDDの20GBと60GBの価格差はそれほどないから価格の逆転すらありうる、という予測もありますが、Dなんかを見るとやはり発売当初はそれ位の値段になるのではないかと思います。


ただ、これだけでは、それ位予想していたとか、なぜ60GB版を買わなければいけないのかとか、まだ分からないですよね。そこで、Bの記事を見ると「HDMI端子」とか「HDTV」とかゴニョゴニョと言っています。これはCの記事でより深く語っていますが、やはりよく話が見えてこない。これは何かありそうです。


思いきり単純化して言います。よく、BD(ブルーレイディスク)プレイヤーは10万円するからその視点で見ればPS3は安いと言われますが、HDMIで出力できないと、BDプレイヤーとしての意味も実はあまりないんです。高解像度(1080px)で出力できないから。いや、下位モデルでもD5解像度のアナログ出力は対応していますが、テレビの方であまり対応していないでしょう。それと著作権保護の話があって、HDMI以外はBDを見れないようにするかも(ゲームはできる。パッケージのこと)という話がソニー自身から出ています。


最大の問題は、BDが高画質なのはいいんですが、その性能をフルに引き出すには、テレビの方も高機能でないといけません。HDMI対応のHDTVでないと引き出せないでしょう。それも30型以上でないと、現在の規格との画質の違いがよく分からないという話もあります。だいたい現状でも家庭のAV環境でDVDの画質をフルに引き出しているでしょうか。そりゃ家電量販店の売り場の立派なTVで見れば迫力があるでしょうが。


しかも下位モデルは他も貧弱です。無線LANがないからPSPとの連携ができません。PSP持ってないからいいとしても、メモリーカード関係が弱いとPS2のデータを引き継げないかもしれません。他にもHDDが20GBだとBD一層の25GBに満たないのでフルインストできない場合もあるかもしれません。


そんなわけで、上位の60GBモデルでないとPS3の意味があまりない。しかもTVも同時に買い換える位でないと映像の力をフルに引き出せない。そうすると20万円位になってしまう恐れがあります。高級レストランですね。その上大型のTVと5kgのPS3が来ると部屋が狭くなってしまいます。


あと補足で書きます。よく言われていますが、PS3のコントローラーに振動機能がないのは特許が理由ではないです。Wiiのコントローラーの傾き検地はモニタ側で行いますが、PS3はコントローラー単体で行います。なので、干渉するために振動がつけられません。代わりにワイヤレスですっきりします。(USBの有線モードもあるようです)

ライブドア化するソニー

ソニー、2005年度連結業績を発表


とにかく高すぎる。なんでこんな事態になったのか。もちろん部品が高いんですが、どうしてそういう構想になったのか。ところで最近のソニーは金融で利益を出しているようです。そういえばソニー銀行がありましたね。家電とかエレクトロニクス関係はあんまりよろしくないようです。だから、BD規格で天下を取りたい、情報家電の中心にPS3を据えて天下を取りたい、という風に欲張りすぎているのではないかと考えています。


PS3関係の投資はBDやCellなど色々含めて5000億位に膨らんでいるのではという噂があって、PS3は相当の期待を背負っているわけで、だからPS3はゲーム機ではないとか、高級レストランだという発言にも繋がってくるのでしょう。確かにゲーム(その他エンターテイメント)が面白ければ値段ではありません。が、提供する側から露骨にそう言われると、ユーザーはあまりユカイではないところでしょう。


今までスペックとかの話をしてきましたが、最終的にはゲームが面白ければいいわけです。問題はソフトです。しかし、複雑なCellのプログラミングなどでソフトを提供するには技術が必要になります。もちろんBDの画質にふさわしい3Dグラフィックの技術も必要です。そうすると十分なレベルのソフトを提供できる会社はそれほどないのではないか。これもPSやPS2のように技術者が対応してくる可能性は多々ありますが、PS3の開発費が一本10億以上という話があって、でもユーザー数が凄く多くなるわけではないし、そうすると参入できる会社はかなり限られてくるでしょう。


そんなわけで、PS3というのはソニーが一人勝ちするためのもので、ユーザーは(開発側も)置いてきぼりの感が大きい気がします。PSの頃は任天堂一強打倒の大義名分がありました。その後セガがハード競争から脱落して、PS2の頃はやや既得権益という感じになってきました。PS3になるともうかなり大勢のユーザーのニーズから離れている気がします。そういうわけで、先日も言ったようにPS2が一番のオススメなわけです。期待するならPSP2ですね。


別にPS3に詳しいわけではなく、この前の発表から大急ぎで資料を調べたので、私自身まだあんまり全貌が見えてないのですが、とりあえずアウトラインを描いてみました。事実誤認がありましたら訂正していきます。とはいえ、今回大雑把に調べてみて、PS3の下位モデルが、税別\59800という値段を印象付けるためのデコイではないかという気がしてきました。私はPSやPS2は良いと思うけれども、「PS3の20GBモデルが買いですよ〜」と宣伝する気にはなれませんでした。