それが哲学クオリティ

赤い色が何故「赤く」見えるのか教えてください。
"質問 赤い色が何故「赤く」見えるのか教えてください。"
「赤」はなぜ「赤い」?

関数化と隠蔽化

はてなの質問者が知りたいのは、物理的な環境と身体の特定の対応が、
特定の知覚意識に対応しているのはなぜか、ということだが、それに
科学は答えないだろう。科学は「なぜ」ではなく「いかに」の方法だ。
(ここでは簡略のため科学をプラグマティックに限定して捉えている)


つまり、その対応関係を体系的に記述することで、例えばこの波長の
光を見せれば赤に見えるとかこの薬を与えれば神経が赤を認識しない、
そういう操作体系になっていて、そもそもなぜ赤が…という根本的な
謎は関知しない。つまり機能上関係ないブラックボックスなのである。

ゲームのルール

これが、数学における公理なら、点や線は無定義元であって、
なぜとかいう問いは無意味なのだ、とできるだろう。つまり、
将棋で飛車が斜めに動けないのはなぜか、と問われたとして、
そういうゲームのルールなのだ、と答えるしかないだろう。


もちろん、ゲームの進化と生物の進化を対比させても構わない。
矛盾のある公理系がつぶれたり、クソゲーが淘汰されるように、
赤と赤以外を区別できる生物として人間は進化してきたのだと。
だが、物理世界から意識世界が生じるシステムは以前謎である。

クオリアと萌え

萌えと関係ない話題なので、ここではこれ位に留めておこう。
ただし、あえて強引に関連付ければ同じクオリアの話だろう。
色はハードに近いので、赤が青に見えることはあまりないが、
萌えはソフトに近いので別のものに反転して見える事がある。


ゲシュタルト心理学や認知系心理学で騙し絵の例が出てくるが、
そこではうさぎに見えた同じ形が、あひるに見えたりするのだ。
図と地が反転することで、二つの視座の可能性を持った絵だが、
萌えの対象は、更に多くの可能性が多重レイヤーになっている。


哲学の謎 (講談社現代新書)

哲学の謎 (講談社現代新書)

CM。哲学的な考察が読みたいなら上の本で扱っている。
1―意識・実在・他者の「生物が絶滅しても夕焼けは赤いか」と
4―私的体験の「逆転スペクトル」の話題が関連している。
専門的な知識が必要なく読める平易な哲学入門書。お勧め。