ゲームとしてのミステリ・ラブコメ
ミステリ | 人物Aは犯人 | 人物Aは無罪 |
---|---|---|
人物Bは犯人 | endA | endB |
人物Bは無罪 | endC | endD |
同じ図式に飽きてきたかもしれないが、
普遍的な説明をしようとすれば仕方ない。
マンガが時間によって構造化されているのに対して、
ミステリは証拠によって構造化されており、もちろん
各ジャンルで違うのだが、複数性という共通の特徴はある。
ミステリ、というよりゲームのゲーム性は、
解の複数性によってもたらされるだろう。
ただし、ミステリはその結末において、
真相を与える形で物語の単一性に収束する。
ミステリの複数性は、ミス・ディレクションという
読者が仮に想定するものでしかなかったが、
ラブコメにおいては、より前景化する。
あるいはミステリがパズル的(単数解)なのに対して、
ラブコメはゲーム的(複数解)である。
そのゲームの一つの形式として、
先に挙げた「ツンデレのディレンマ」がある。
例えば『ラブひな』とかを想像してほしいのだが、
推理小説における探偵像、知的でその内面は謎なのだが、
ラブコメはその裏返しで、馬鹿呼ばわりされ、内面は読者に筒抜けだ。
しかもミステリとラブコメは、死と生・悲劇と喜劇など、
完全に対照的なジャンルになっている。これは別の機会に整理しよう。
重要なのは、ラブコメがただベタベタしてればいいとかではなくて、
ミステリで探偵が、容疑者の言葉の裏を読むように、ラブコメの
主人公はコミュニケーションに反応しなければならないことだ。
たとえそれが「鈍感」という裏返しの形だとしても。
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