可能世界の恋愛感情

タイトルと内容の関連に気付かれた方はどれくらいいるだろうか。
ツンデレのディレンマのマトリックスはそのまま可能世界を示す。
厳密に言えば「ツン・デレ」が単なる「ツン」と違うかどうかは、
原理的に、事実からは証明不可能である。デレは可能性だからだ。


「ツン・デレ」の「・」は、事実と可能性の領域を横断している。
または作品と読者の脳内補完の領域を横断しているかもしれない。
あるいは原作と同人の領域を横断して成立することもあるだろう。
「ツン・デレ」と萌えの組合せ説は、ともに可能世界論へと導く。


この事情を記号で表せば「ツン・デレ」は「ツン(・デレ)」だ。
「()」は現象の裏だが、それを読者に気付かせるための初歩的
な装置の一つが、「頬の斜線」である。徴候を示す出来事なのだ。
途中まで言いかけるのもある。「ツン・(デレ)」と表記しよう。


ディレンマを抱えた「ツンディレ」は、主人公との関係で生じる。
行為の選択ができればインタラクティブなゲームに向いた要素だ。
もっと端的に言えば、ゲーム理論なのだからゲームに向いている。
しかしまた対等な立場でないツンデレ喫茶での障害になるだろう。


ツンデレはわれわれの時代の不確実性を、享楽に変えようとする。