映画『サイレン島 SILENT』 ――ユルくてキッチュなC級ホラービデオ
概要
- 出版社/メーカー: Blowout Japan
- 発売日: 2006/07/07
- メディア: DVD
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情報
- 構成: 田川幹太
- 出演: 亜紗美、福山理子、田川幹太
- 製作国: 日本
- 公開: 2006年
- 上映時間: 63分
紹介
“死の島”と恐れられる場所に残されたビデオテープから構成された衝撃作解禁。TV放映不可能!セルバージョン発売禁止!レンタルDVDのみで明かされる、その戦慄とは?新ジャンル、ドキュタッチ・ホラー。
物語(あらすじ)
(注意:以下、ネタバレあり)
S県 I市―。
旅番組の取材でかの地を訪れていた
番組スタッフはある噂を耳にする。地元民に「音無島(おとなしま)」
と呼ばれ恐れられているその島は
何年かに一度干潮時に陸がつながり
島に訪れる事ができる。
しかし、そこに行って帰って来た者は
一人もいないと言うのだ。好奇心を刺激されたスタッフ達は
人々の制止を振り切り
島に行くことにした。
大海から現われた
か細い道を歩いて行った。そして彼らは・・・・
二度と戻る事は無かった。
(本編冒頭のテロップ)
解説
ユルくてキッチュなC級ホラービデオ
最初に断っておくと、『サイレン島』はゲームソフトや映画の『サイレン』と全く関係ない。タイトルはただの便乗だ。
本作はレンタルDVDでのみ公開。いわゆるオリジナルビデオ、Vシネマというジャンルに属する。C級(D級、E級?)ホラーなのだが、反面教師としてあえて取り上げた。
コンテンツ飽食時代の現在、A級作品ばかり見ていると、ついそれが当たり前のように感じてしまう。だが、映画作りは大事業だ。資本がなければこのような失敗作になる。
マニアックな作品なので、出演者を紹介しておこう。まず、構成の田川幹太は、『杉沢村伝説 完全無削除 絶対恐怖版』といった、恐怖・心霊・怪談系オリジナルビデオの監督を務めていた。
ふたりの女性レポータを演じるのは、杉浦亜紗美と福山理子。杉浦亜紗美は、元AV女優で、最近は『片腕マシンガール』『ロボゲイシャ』に出演。福山理子は、初代ミニスカポリスで、最近は『Cat Fight plus』に出演。
内容を見てみると、「サイレン島(音無島)」という無人島で起こる恐怖を、疑似ドキュメンタリータッチで描いている。といっても、同じジャンルの『パラノーマル・アクティビティ 第2章/TOKYO NIGHT』のように怖くはない。むしろ、多くの部分が、笑いを狙ったものだ。
ほとんどの場面が、ふたりの女性レポータとディレクターの3人で進行する。練乳とポン酢を持ち歩いて、どこでも間食する太ったディレクター。彼をふたりのレポータがいじめて笑いを取る、というコントのようなシーンが頻出する。
ようは、深夜バラエティ番組の企画のような感じなのだ。もっと言えば、AVからアダルトな部分を抜き、芝居部分だけで構成したような感じ。だが、それではサビ抜きではなく、「ネタ抜きの寿司」のようなものではないか。
オリジナルビデオだから、というのは言い訳にならない。『呪怨』や『ひとりかくれんぼ』のように、劇場版を公開するに至った成功例があるからだ。商業作としては駄作。
ただ、自主制作レベルの基準で見たとたん、低予算ならではのアイディアが見えてくる。たとえば、音無ゾンビの動きなどは、演技力がいらない*1わりに、オリジナリティが感じられる。だから、自主制作映画を撮って動画サイトにアップしようといったときに、参考にはなるだろう。逆に言うと、動画サイトで見れば十分、という面もあるが……。
本作は、ほとんどのところが安っぽく撮られている。が、最後の5分前からラスト直前の、旅館から逃げるあたりのところは、かろうじて緊迫感があった。全編をあのような感じで撮れれば、怖くなったかもしれない。
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*1:たとえば、『リング』の貞子の動きは、舞踏家が演技指導している。また、逆にコマを回しているので、それなりの演技・撮影・編集の技術が必要になる