アニメ感想・「鉄のラインバレル」1話「クロガネと少年」

鉄のラインバレル 2009年カレンダー

あらすじ

早瀬浩一は、どこにでもいる、ごく普通の中学三年生。何も出来ず、正義に憧れているだけだった彼は、ある日”事故”により、巨大人型メカ「ラインバレル」のファクター(搭乗者)となる。圧倒的な力を得た浩一は、謎の美少女・城崎絵美との出会いをきっかけに、襲いくる敵に戦いを挑んでゆくが……!?

原作は、清水栄一・下口智裕『鉄のラインバレル』(コミック)。

通俗硬派ロボットアニメ

平井久司的アニメがまた一つ。GONZOが制作し、スタッフ・キャストが豪華で、谷口悟朗板野一郎も参加。同じロボットものでも、パンツ(のようなもの)が見えるのが通俗軟派だとすれば、この作品(というか平井久司的アニメ全般)は、今わりとない通俗硬派指向ではないだろうか。

ところがここで、通俗硬派を目指しながらも、主人公の性格が厨であるというのがユニーク。前半はしょぼくれていたが、後半ロボットに乗れると分かると、急に顔つきが変わってギラギラする。悪役みたいとまでは言わないが、とても「正義」には見えない。「コードギアス」のルルーシュは、一貫して堂々としておりまだしも絵になるが、態度が豹変するのが、主人公の設定としてけっこう斬新。

しかし、そうするのは、伝統的アニメの断絶にきわめて意識的だからで、「正義」「熱血」を最初からあって当然のお約束にはせず、それを懐疑的・批判的に見つつダイナミックに取り入れようとする試みに思えた。また、制服の血に誰も触れないのが不自然なのでもしやと思わせたが、意外性があり次回に興味を持たせるラストは、初回の終わり方として正解だろう。

3DCGで描かれたロボットの戦闘が良い。これが気の抜けた3DCGだと、慣性がない単調な動きになるが、本作ではスピード感と質量を両立させた。エフェクトも迫力。さすがだ。意欲作で続きが気になる作品。

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