社訓と卒業文集のディレンマ

NOVAが経営破綻したNEWSが新聞、テレビで溢れています。

私が着目したのが、「NOVAの社是」です。

  1. 理想は実現するためにある
  2. 未来は創るもの
  3. 一人一人の自己実現の夢の集まりが組織だ
  4. 絶対ポジティブ
  5. 論破すること
  6. 自己確立
  7. 大いなるアマチュア集団
  8. ポジティブ単語の威力
  9. 前進を忘れて現状維持の発想になったとき企業は終わる

こういった、社是、みなさんどう思われますか?私は、この社是、この価値観が今回のような事態を招く原因になったのではないかと思うのです。

それを言ったら事後的解釈だろう。しかもリンク元ブログでは、もしNOVAが倒産せず絶好調だったら、いかにこの社是が素晴らしいか説いていそうな印象もある。もちろんそれ位はその辺のブログがどこもやっているありふれた手法だから、目くじらを立てるほどのことではないけれど、ディレンマ(両刀論法)であるとは思う。

この手法はマスコミでも見られ、例えば卒業文集に寄せる文章の扱い方だ。「自分のやりたいことを見つける」といった文章を書いたとして、ある人物が犯罪者になれば、いかに自己中心的で身勝手な考えで、だからこうなったという原因にして、その人物が成功者になれば、いかに積極的に自己実現を目指していて、だからこうなったという原因にするだろう。

このようにディレンマは、どちらにしても間違わないので好んで使われる論法だが、それは正しいからというよりも情報量がないために、間違いようがないという方が実態に近いだろう。要するに「当たるも八卦当たらぬも八卦」の世界だ。ただし、当たり障りのない意見が言えなくなると困るので、それを不当だとか禁止せよなどという強い主張はしない。

「理想は実現するためにある」「未来は創るもの」くらいは、他の会社の社是・社訓にもよくありそうな文句(「理想の実現」「未来の創造」とか)で、そんな問題なのかと思う。少なくとも、社訓が職場に額に入れて飾られているだけでは、倒産したり成功したりといった会社を左右する程の力はない。会社を左右するのは、その考え方を採用して適用する社長・社員の行動だろう。