石原慎太郎の宣戦布告と東京革命

宣戦布告

10月1日は都民の日なので、東京ブロガーとして東京のことについて書いてみよう。テーマは石原慎太郎都知事について。まず、上の石原慎太郎公式サイトにあるように、「宣戦布告」「(心の)東京革命」というのは、私が勝手に読み取ったのではなく、サイトに書いてある。コンテンツの中でも興味深いのは、これだ。

日本皇国
(「日本の正式国名」ベスト一位)

大日本帝国
(「日本の正式国名」ベスト二位)

読んでみて非常に面白かったですね。国民がこの日本にやっぱり色々と鬱屈したものを感じているということがよくわかりました。全体の印象とするとね、「本来ならば 俺たちはこんなものじゃないんだぞ」というね、何か幕下でとってるけど本当はもう 三役の国なんだというそういう不満、不安というかな、国民の強い憤りもあったし、 不満もあったし、そういうものを非常に強く感じましたね。(石原慎太郎のコメント)

http://www.sensenfukoku.net/invite/name_b.html

石原慎太郎にとっての東京というのは、小国家なのかもしれない。石原と言えば指導者の威圧感を持つ作業着のジャンパーが印象的だが、「都営地下鉄大江戸線」というネーミングなども、上のランキングから察するに、本当は「帝都」という言葉を使いたかったのかもしれない。そうなると、学天則が鬼と戦いながら鉄道が開通する*2ような、戦前に回帰したイメージだ。しかし、色々な失言も含めて、表現のレベルでどうこう言うつもりはない。本題は次である。

東京革命

 (…)ところが、様々な情報が氾濫する現代社会を生きる子供達は、大量の知識を詰め込まれ、結果、大脳ばかりが肥大してしまっている。
 (…)その結果、子供は我慢するということを教わることなく成長し、脳幹も衰退していくのである。脳幹の衰退は忍耐力を奪い、「学級崩壊」や「キレる」などの言葉が象徴するように、不安定な子供たちを多く生み出してしまう。

石原慎太郎は、自著「スパルタ教育」で示した教育論と一致を感じたのか、「戸塚ヨットスクールを支援する会」会長になっている。「脳幹論」というのは、脳幹を鍛えることによって、生きる力を取り戻して、癌・アトピーうつ病・登校拒否…などが治って(直って)いくというものらしい。これは、ある種「キレる脳」「ゲーム脳」「ケータイ脳」といった今流行の脳ブームの先駆けだとも捉えられよう。

しかし、第一に、脳幹を鍛えれば何でも治るという科学的根拠がないし、第二に、(暴行に限りなく近い)体罰によって鍛えられるのか、という疑問がある。そもそも「大脳が肥大した」などと言われても、現在の人類はみんなそうだし、ちょっとのことですぐ肥大したりもしない。もっとも、石原は政治家だけでなく作家でもあるから、単なる「頭でっかち」ということを、文学的に表現したのかもしれない。

ここで、学校にはジャージで竹刀を振り回してビシビシ指導する体育教師も必要で、それを「体罰はいけない」「人権人権」と過保護にしてしまうと、不良が好き勝手しはじめ、結局は立場の弱い生徒がいじめられてしまう、というような意見があるかもしれない。それは分かる。

だがそもそも、戸塚ヨットスクール校長の戸塚宏は、過去の傷害致死事件が有罪になった今でも、いじめが教育に不可欠だと考えているようだ。不良の代わりに教師にいじめられるのでは仕様がない。もしそのような極端な思想を都全体の教育に適用されたら少し戦慄を覚える。最低限、教育と暴行の境界線はけじめをつけておいてほしい。

それにしても、300人の重装歩兵で数十万のペルシャ軍と戦う*3戦闘国家スパルタのように都民を強化して、石原はいったいどこに「宣戦布告」するつもりなのか。

関連作品

帝都物語 [DVD]

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300<スリーハンドレッド>特別版(2枚組) [DVD]

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*1:募集企画は既に終了

*2:帝都物語

*3:テルモピュライの戦い