分裂勘違い君劇場の主張を統合すると…

分裂勘違い君劇場 - 図解:あなたの給料もワーキングプアの給料も大部分は努力や成果と関係なく決まっています

こうして考えてみると、たとえ一切の障壁がなく、完全な自由競争によって賃金が分配されたとしてさえ、賃金格差をどこまで正当化できるのか、かなり怪しく感じられます。

しかも、現実には、直接能力とどこまで関係するのか怪しい参入障壁の積み重ねで、人々の賃金のかなりの部分が決まっています。

つまり、理想的な状態においてさえ、賃金格差は必要悪でしかなく、現実には、賃金格差は、道義的に正当化できる根拠はかなり怪しいのです。

さらには、「賃金格差を拡大させたにも関わらず生産性が向上しなかったケース」など、現実にはいくらでもあります。

さらに、賃金格差を正当化するのは、能力というより成果でなければならないですが、現実には、望み通りに機能するような成果評価システムを作るのはかなり困難なことも多く、その弊害も多いでしょう。

つまり、賃金格差の拡大は、もしかしたら必要悪ですらないかも知れないのです。

分裂勘違い君劇場 - プログラマの労働条件を過酷にしているのは、過酷な労働条件を受け入れるプログラマです

過酷な労働条件を受け入れるプログラマというのは、ダンピングをしています。

つまり、労働力の不当な安売りです。

本来、プログラマは、サービス残業を強要されたら、それを拒否すべきです。

あらかじめ無理なスケジュールだとわかっているプロジェクトも、拒否すべきです。

安い賃金で働くことも拒否すべきです。

それらを拒否せずに、受け入れるプログラマが多いから、他のプログラマまでそれらを受け入れなければならなくなるのです。

結局、プログラマを過酷な労働条件と安い賃金に追いやっているのは、有能なのに安い賃金で無理なプロジェクトを引き受けるダンピングプログラマなのです。

世界史を勉強すれば、この「抜け駆け」こそが、搾取と隷属を作り出してきたことがよく分かります。

  • 完全な自由競争によって賃金が分配されても賃金格差を正当化できない
    • 能力と直接関係しない参入障壁で賃金の大部分が決まっている
    • 「賃金格差を拡大させたにも関わらず生産性が向上しなかったケース」
    • 賃金格差を正当化できる成果評価システムを作るのは困難で弊害も多い

両方それなりに説得力を持っている主張だと思うけど、二つの主張を統合すると、「プログラマの賃金格差(だけ)は正当化できる」という結論になるのかな。*1

*1:まあ結論として、1.プログラマが特殊な職種であって一般化できない2.格差が広がり過ぎない緩やかな自由競争 といった辺りに落ち着きそうな気がする