アニメ雑感

  • となグラ

毎回主人公の妹が可愛い。…最後の写真撮影で顔が引きつる辺りが良い。ありえないほどの不器用さが純真さを担保するという構図。主人公とヒロインをくっ付けたくて仕方ない人たちばかり。ベッタベタでペラッペラのラブコメで、主人公もバカだけど、その有形無形の善意のオーラに、感情移入させる力がまだ残っている。一般的にこの手(ツンデレ幼馴染)の話では、主人公と特にヒロインが融通が効かないので、いかに脇役を動かすかが鍵になるだろう。ヒロインの姉が器用であり、友人は気が利くといった具合に、人間関係のパズルを解いてくれる、解くヒントを与えてくれる人物が必要になる。それはたいてい「大切なことを思い出す・気付く」という形をとる。今回なら怒った顔も可愛い、全部を受け入れるみたいな話。

  • NHKにようこそ

先輩がNHK団を設立して暗い自主制作映画を撮ったりする(した)展開が見たい。…ラノベの原作からは少し変えて、映像ならこうした方がいいという構成になっている。テーマだから仕様がないけど、いつも独特の閉鎖感がある。例えば、前回の人形を踏んだ所とか、エレベータが閉まる場面とか、希望を潰す場面にやたら凝る。いや、最初の方のバイトの面接を想定してブツブツ言いながら歩くシーンとか、晴れて鮮やかな背景と鬱屈や不安が衝突してて、印象深いし良い演出なんだけど、たまに開放感があるシーンを挟むとより良い。最後に岬が天使に見えるシーンがそれだろうけど、前に出てきた美少女ゲームの絵に負けてる。かように岬がさほど可愛くないのは難点なんだけど、むしろ絵に描いたような美少女ゲームより現実に眼を向けろというメタメッセージなのかもしれない。

水戸黄門みたいな話。最後の「トレビアン」の間が良い。ルイズに胸なんかなくったっていいんだ。…この作品は美少女系コンテンツにありがちな女尊男卑の構造がはっきり反映されていて、貴族と平民の身分差はその装飾に過ぎない(といっても作者は中世の世界を描きたかったらしい)。もし配役の性別を逆にして、男が女を犬と呼んで鞭で叩くと、かなり不穏当な空気になってしまうから、この設定は妥当だろう。ついでに、設定は倒錯的だが、行動は禁欲されているのも無難だろう。もし毎晩鞭で叩かれて感じてしまうのでは洒落にならない(といっても作者はたぶんそういう話も書けるだろうが)。萌えを標榜しながら、それでいて伝統的なヒロイックファンタジーの枠内に留まること。これを満たすのがラノベにふさわしい。