鏡の法則などない

豪一郎がゆく: 鏡の法則(ハンカチを用意して読め!)
RinRin王国-「鏡の法則」反応リンク集
心理学化する社会―なぜ、トラウマと癒しが求められるのか (書籍)


そんな法則はないですね。それは「なぜ人を殺してはいけないのか」と問われれば「そんな理由はない」というのと同じことです。しかし現実の社会では、殺人は一定以下の水準で保たれています。その原因は端的に、警察のような暴力装置と司法システムが機能しているからでしょう。それが破綻して内戦のような状態になれば、やはり大量虐殺が起きるわけです。つまり、自然法則ほどではないけれど、力関係にはある種の絶対性があります。それをある程度形式化して見ようとするのが社会システム論です。


それだけのことですが、ここで鏡という喩えが出ているのが興味深いですね。ナルシストは鏡が好きだというように、鏡像は自我の代理を果たします。思い入れが強い人がコロッと騙されるときは鏡像が出現するときです。強欲ババアが善人の振りをした悪徳商法セールスマンに金を騙し取られるみたいな。善人が報われるのは良い社会で、それを目指すべきだと思いますが、しかし、「いま報われていない人は何かの業(カルマ)でそうなっているはずだ」と言い出すのは良くないですね。前近代的な勧善懲悪図式というか…。われわれは神が死んで理想の鏡がない世界を生きているのです。