涼宮ハルヒの使徒

ポストエヴァとしての涼宮ハルヒ


放送13話「涼宮ハルヒの憂鬱V」を見る。要するにハルヒ使徒が暴れる話。そこら辺の対応は上を参照。本編、ほとんど原作通りだと思うけど、ここで最初の方のハルヒのアスカ的独白を、前回と比べると大変興味深い。日本全体からみたら野球場もちっぽけな存在だ、ということには幼い頃に既に気付いていて、あのライブはもっと小さな体育館でやってるんだから、じゃあそんなことで充足するのは下らないんじゃないかというと、もう少し複雑な心境だと思う。


たぶん次回で、そんなスケールがデカけりゃいいってもんじゃないとかそんな感じで、キョンハルヒをこの世界に繋ぎとめると思うんだけど、それを受けてあのライブ(どんな世界でもついていくみたいな歌詞も含めて)があるわけだから、やっぱりどっかで分かってるんじゃないかと思う。シャッフル構成で構成13話の前に12話が来てしまって、ベタな成長を錯覚してしまうという話を前回したんだけど、その上でさらに今回の放送13話の野球場の話があって、何重にも効いて来るという。シャッフル構成は最初の内は意味不明だったけど、ここにきてかなりの威力を発揮している。


ちなみに古泉の「人間原理」云々のところは退屈な語りだけど、一応前回のハルヒで観測者=視聴者が成長を錯覚して読み込むことに対応してて、メタフィクション的と言えないこともない。もう少し言うと、前回のライブアライブで、ハルヒが感極まった表情で一瞬こちらを見る場面があって、まるでブレイクしたハルヒと視聴者が直接ライブしているような感覚がある。もちろん実際にはあれはドラムの娘に対しての視線だろうから、これも視聴者が重ね合わせて読み込んでいるだけなんだけど、そういうのも含めて上手いと思う。あのライブでもうハルヒがオタクの箱庭から出てしまったという感想があって、そういう意味ではエヴァの「おめでとう」に対して、「ありがとう」だとも言える。しかし、最後に来て破綻するのではなく、むしろ環を閉じてジグソーパズルが完成する構成(これも前言ったけど)は、極めて面白い。