ジャンプと幕張
「こち亀は『当時は!』すごく面白かった!」
(…)昔好きだったジャンプではなくなっていた。
ジャンプがオタク化してる。
『とりあえずカイジとか読んでくれねえかな』
ここら辺はよく頷けるんですけど、でも『幕張』自体がジャンプ凋落のメルクマークだったんじゃないかと思う。むかし幕張が出た頃、友人と幕張について語っている中で「そろそろジャンプも〜」みたいな話をしていて、なぜ幕張がいけないかというと、(悪い意味で)読者の視線と同じになってしまっていて、少年誌であるジャンプが禁欲していた、中学生的な自己言及をはじめたからです*1。つまり木多はジャンプオタク的な視点で描いてしまっていて、少なくともその立場からは遊戯王を批判なんてできないと思うけど。単に別種のオタクというだけだから。画太郎とかが言うなら分かるけど。まあトークは勢いですから、そんな冷静に突っ込んでも仕方ないんですけど。ただ、幕張のネタは基本的に「こいつイケてない」という中学生的な人を小馬鹿にして笑おうという発想に基づいていて、しかもその「人」というのが読者の現実での身近な対象でありえて、その暴力性が少年誌空間になじまないと思う。もともと笑いは暴力的だと思うけど、こち亀にしても珍遊記にしてもマサルやジャガーにしても王ロバにしてもボーボボにしても、そういうジャンプの他のギャグマンガとは少し異質でしょう。