推敲の重要性

ミニマル

株式投資正統派 文章が下手なあなたへ
via REVの日記 @はてな

ホームページにCGI設置したいけれども、なかなか難しくて手間をかける方は、掲示板、ゲストブック、カウンターアクセス統計などの設置が今日から簡単です。今すぐフリー登録して見ませんか? ご満足いただけると思います。

この原典をリフォームしていく。まず最初に、もっと端的に言えないか。

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切り詰めた。こういう手段もある。

ノーマル

「ホームページ」など言葉の感覚に違和感を覚えるが、時代も考えて単語はなるべく置き換えないことにする。まただいたい同じ文字数にして置換の効果を見よう。原典の問題点は、最初の一文の構造が不透明なところにある。

ホームページにCGI設置したいけれども、なかなか難しくて手間をかける方は、掲示板、ゲストブック、カウンターアクセス統計などの設置が今日から簡単です。

なんだかよく分からない。

手間をかける方は、掲示板などの設置が簡単です。

文の骨組*1を取り出すとこうなる。更にコアを取り出そう。パッと見、「手間をかける方は、簡単です。」に思える。しかしこれでは、「あなたを、犯人です」式でぎこちない。*2


掲示板などの設置が簡単です」を中心に見る方が明快だ。ここに「誰は」を載せる。もし条件の限定を強調するなら「に(とって)は」をつける。「手間をかける方には、掲示板などの設置が簡単です」。さらに「にも」「でも」を使う手法もあるだろう。


しかし「手間をかける方」というのもあまり聞かない言い回しだ。そこで、「手間がかかる方は、掲示板などの設置が簡単です」。受身にした方が不本意な制約を強いられていることが明確になる。「手間がかかる方は、掲示板などの設置が簡単になります」。だんだん普通の言い方に近づいてきた。「がかか」が連続しているので「が掛か」にする。


ここで「設置が簡単に行えます」とすれば丁寧だが文が長くなる。そこで「手間が掛かる方は、掲示板などが簡単に設置できます」とする。もっと丁寧に言うなら「できるようになります」。肉をつけて復元しよう。他に手を入れた箇所は、「も」を取って「を」を「CGI設置」に入れたところだ。字数調整のために「など」を取った。

ホームページにCGI設置したいけれども、なかなか難しくて手間をかける方は、掲示板、ゲストブック、カウンターアクセス統計などの設置が今日から簡単です。(元)

ホームページにCGIを設置したいけれど、なかなか難しくて手間が掛かる方は、掲示板、ゲストブック、カウンターアクセス統計が今日から簡単に設置できます。(改)


リンク先と違い、純粋に「てにをは」のみを直した見本。同字数。「統計が」は「統計を」にする路線もありそう。「〜したいけれど、なかなか難しくて」あたりの言い回しはまだ不自然さが残る。「難しくて諦めていた」辺りが分かりやすい。が、少しおおげさでもある。このように、推敲は終わりなき過程。

フォーマル

ホームページにCGI設置したいけれども、なかなか難しくて手間をかける方は、掲示板、ゲストブック、カウンターアクセス統計などの設置が今日から簡単です。今すぐフリー登録して見ませんか? ご満足いただけると思います。(元)

自分のホームページに掲示板、ゲストブック、アクセスカウンターを設置したいけれど、なかなか難しくて大変だというあなた。今すぐフリー登録して見ませんか? 簡単に実現できます。ご満足いただけると思います。(リンク先の改)

掲示板、ゲストブック、カウンターアクセス統計などが、簡単に設置できるサービスです。無料登録して頂くと、今日からすぐ御客様のサイトでご使用できます。従来の難しいCGIにご不満な方も、この機にぜひご利用ください。(改)

価値判断も含めた直し。敬語関連はまだ荒いが(「ご使用」「ご不満」「ご利用」の連続など)、無料サービスだし字数調整も面倒なのでこれ位に。客の(相手の)立場に立っていない文章は安っぽい。満足するかどうかを決めるのは客なのが商売の基本。蛇足だがスパムメールの文面は、独りよがりで思わせぶりで誇張表現や無根拠な断言に満ちていて、良い反面教師になる。


「あなた。」という呼びつけもあまり上品ではない。また、すぐ登録しろ、ではなく、今すぐ使える、という視点にする。ただし、文章の情報からは「今日から」使えるだろうという以上のことが分からないので「今すぐ使える」という表現は避けた。またCGIを知っている人にも知らない人にも全体の文意が伝わるようにした。同字数。

(メタ)ルール

  • 書くこととは推敲することである

最初の文章は推敲するためのスタートライン。少なくとも一度は推敲する。

「てにをは」や語順の入れ替えが主だが、最終的には全ての語が置換可能。

  • 増やす方向より削る方向で考える

最初に骨組みを取り出しそこに肉付けした方が、しっかりした文章になる。

*1:ここでは文法用語は使わないので曖昧な表現になっている。なるべく学校文法に沿って解説してはいるつもり

*2:「僕は、ウナギだ」という用法があって、本当はもっと複雑な話になる