欲望・約束・幻想

われわれは幻想を通じて欲望の仕方を学ぶのである。  ――『斜めから見る』ジジェク

お客さんが欲しいものが先にあって、明確な仕様書を基に何かを作る場合もあります。しかし新しいものを作るときには、それが出来上がってからはじめて、欲しいのかどうかが判明します。ここで難しいのは、実際に運用するときは必ずタイムラグが生じることです。種が実になる頃には作物の価格が暴落していたり、行列(キュー)に並んでる内に商品が要らなくなったりします。つまり欲望の事後性によって、在庫を抱えるリスクが生じ、そのコミュニケーション不安の回避手段が約束(コミットメント)にあります。限定特典・予約販売などです。しかし、幼馴染とかつてしたノスタルジックな約束は、将来欲しいという先読み(だけ)ではなくて、「昔に約束されているから欲しいはずだ」という転倒があります。この構造を幻想と言います。