映画『SAW 2(ソウ・ツー)』 ――プレイヤーが8人に増え、拷問も強化した続編

概要

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情報

映画「SAW2」公式ホームページ

紹介

『ソウ2』は第一作『ソウ』の多くの特徴を甦らせている。凝っている残酷な脚本は、犠牲者たちの“生きる意志”を“試す”ことを目的としている。まだ命運尽きてはいない策略家の連続殺人犯ジグソウにトビン・ベル、ジグソウの“ゲーム”の生き残りで、ふたたび戦うことを強いられるアマンダにショウニー・スミス、刑事としての枠からかなりはみでた行動に出るディナ・メイヤー(『スターシップ・トゥルーパーズ』)。脚本リー・ワネルによる凄惨で圧倒されるセリフがある。今回の設定は前作を上まわる不条理さに満ちている。荒っぽくうだつのあがらないエリック刑事(ドニー・ウォールバーグ)がビデオのモニターを見つめていると、ある家に神経ガスが充満してくる。数人の犠牲者たちに囲まれて、そこには自分の息子の姿がある。全員に謎めいたつながりがある。エリックはジグソウを捕まえるが、この無慈悲な人殺しは息子が閉じこめられている場所を明かそうとしない……エリックがジグソウのルールに乗ってこない限り、その場所が明かされることはない。『ソウ』のファンは『ソウ2』が気に入るはずだ。拷問はさらに激しさの度合いを増している。『ソウ』に嫌気がさした、あるいはお笑い草だと思った人は、『ソウ2』もやはり気に入らないだろう。登場人物が現実世界の人々のような行動を取ることはまれである。対立を解消するために話し合える時が訪れても、いくら命が危ないとはいえ、誰も意思伝達を図ろうとしない。体液と苦悶に歪む顔、苦痛の叫びのフェスティバル。それが好みであれば、この映画は必見だ。(Bret Fetzer, Amazon.com)

物語(あらすじ)

注意:以下、ネタバレあり)

【ストーリー】
目覚めたら出口の無い館に閉じ込められていた8人の男女。ジグソウの囚人たちが新しいゲームに臨んでいた。
ゲーム開始と共に遅効性の毒ガスが館内をめぐっていく。2時間以内にゲームに勝ち抜き、解毒剤入り注射器を手に入れないと死んでしまう。
8人の男女は注射器を手に入れられるのか?
一方、刑事エリックはジグソウを捕まえる。しかしジグソウは動揺することなく、エリックと2人で話をすることを要求する。
なんと、エリックの息子はジグソウに監禁されていた。驚愕するエリックは、ジグソウに詰め寄る。
果たしてエリックは息子が監禁されている館のありかを吐かせることができるのか?ジグソウの狙っているものは果たして何なのだろうか?

解説

8人に増え、拷問も強化した続編

 前作と監督が交代した、『SAW』シリーズ第2作。最初に注意しておくと、日本ではR-15指定されているように、グロテスクな表現が頻出する。しかも、前作よりもパワーアップしている。視聴して不快に感じる部分があるかもしれない。

 グロくて痛いシーンが多いために、話は面白いものの、見ていて疲れる作品になっている。登場人物が増えて拷問も多くなった代わりに、頭脳戦・心理戦の要素が薄れてしまった。ソリッド・シチュエーションというジャンルの趣旨からいえば、グロ描写よりもゲーム性に力を注いで欲しかった。

 グロ描写に力点が置かれ、登場人物が増えたこともあり、彼らは何も考えず、トラップにあっさり引っ掛かって次々と死んでいく。そのため、見ていて痛そうだとは思うが、だれかに深く感情移入することがない。首に書かれた暗号や「虹」というヒントも、最後には関係なくなってしまった。

 登場人物たちが対立を超えて協力することで、謎が解けていくという過程がない。前作のように、閉じこめられた人物の過去を、深く掘り下げることもしない。ほとんどは、犬死にするための役でしかない。さらに、命を大事にしろと説教を与える、当初のジグソウの趣旨もほとんど失われてしまった。

 それでもやはり、話自体は面白い。今回もどんでん返しが用意されていた。閉鎖された部屋の内外で、ふたつのゲームが進行するのだが、その並行した進行に必然性がある。ソリッド・シチュエーションは、なるべく状況を限定したほうがよいが、この場合は意図があるので構わない。

 視聴中、先がどうなるか、最後までずっと手に汗を握っていた。映像が止まるシーン、金庫が空くシーンなど、意外な展開も用意してある。続編ということもあり、前作ほどの衝撃はないが、スリルとサスペンスを追求する脚本は良い。

 ジグソウと刑事のやり取り(の結果)も面白い。追い詰めた刑事が焦り、絶体絶命のジグソウは余裕だという皮肉な構図。今回のジグソウのゲームは、前回のアダムのゲームと違って納得した。ただやはり、グロく殺す悪趣味さのために、ジグソウ側を応援したくなるほどでもない。

 そして、ラストシーンで、前作のバスルームが出てきたところは、盛り上がったし感慨深かった。細かいことだが、蛍光灯の点き方、その撮り方が格好良い。ただの蛍光灯でも、演出しだいでこうも印象に残るというのは、映画の面白さだ。

 グロシーンが多いため、見る人を選ぶ映画になっている。が、グロさにさえ耐えられれば、ハラハラドキドキ、興奮できる一作になるだろう。

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