『ラブプラス』より未来のギャルゲを構想する4・自律型キャラクター
概要
- 出版社/メーカー: コナミデジタルエンタテインメント
- 発売日: 2009/09/03
- メディア: Video Game
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(注:以下は個人的な構想で、実際のゲームの説明ではありません)
『ラブプラス』より未来のギャルゲを構想する3・情報共有型ゲーム - 萌え理論Blog
未来のギャルゲを構想したい。前回は、ギャルゲ最前線に位置する『ラブプラス』の、空間同調性と連動した情報共有性の概念について考えた。今回は、「キャラクターの自律性」について考察していく。
ここでいうキャラクターの自律性とは、キャラクターがストーリーやゲームの枠を超えて存在することだ。それが最終的にどんな地点まで行けるのか、以下で詳しく述べよう。
構想・キャラクター自律型ゲームの可能性
キャラクターの自律性
まず、キャラクターの自律性というときに、メディアミックス環境を念頭においている。近年のアニメではオリジナルよりも、マンガ・ゲーム・ラノベが原作になっている作品の方が多い。
メディアミックスでは、キャラクターがストーリーに先行する。あるキャラが流行しているから、アニメ化やゲーム化の企画が立ち上がり、新たなストーリーをつけて商品化されるのだ。
キャラクターの自律性というのは、この「メディアミックス」だけでなく、「スターシステム」「スピンオフ」「クロースオーバー」など、他の概念とも関連がある。それらの共通性を一言で言えば、キャラクターが作品群を横断しているのだ。
「aisp@ce(アイスペース)」
「aisp@ce(アイスペース)」は、人気美少女コンテンツ「CLANNAD」「SHUFFLE!」「D.C.II 〜ダ・カーポII〜」の各世界・キャラクターを、ハイクオリティな3Dでオンライン上に再現した世界です。
抽象的な話だけでなく、実例を出す。そういう発想が実現したギャルゲ(サービス)はすでにある。たとえば、「aisp@ce(アイスペース)」がそうだ。そこでは、『CLANNAD』『SHUFFLE!』『D.C.II 〜ダ・カーポII〜』という異なるタイトルがクロスオーバーしている。
架空ゲーム『スーパーラブプラス』(スパラブ)
こうしたアイディアは、別に3Dでなくて2Dでも実現できるだろう。
たとえば、『スーパーロボット大戦』(スパロボ)*1にヒントを得た、架空のゲーム『スーパーラブプラス』(スパラブ)を考えてみよう。この『スパラブ』においては、さまざまなギャルゲ、さらにはゲーム以外のメディアからヒロインが集結して、「夢の競演」を繰り広げる。
たとえば、『けいおん』のメンバーと『涼宮ハルヒ』のメンバーが共同ライブを開く、『School Days』の桂言葉と『ひぐらしのなく頃に』の竜宮レナがノコギリとナタで戦う、といったある種MAD的なシーンが見られるのだ。
自律型キャラクターがゲーム・メディアを横断する
だが、キャラクターが集まるだけでは、既存の発想と大差ない。そこに何らかの「プラス」を加えたいのだ。そこで、前回までの話で取りあげた例と組み合わせよう。
たとえば、異なるゲーム・メディアへのキャラクターの持ち込みが可能になるシステム、というのはどうだろうか。
まず簡単な例から見よう。既存のゲームでも、データの持ち越しが可能なタイトルがある。コナミのタイトルで言えば、『パワプロ』シリーズでは、プレイしたデータを続編のタイトルに(部分的に)引き継げる。
これを応用して、『ラブプラス』から『ラブプラス2』(注・発売されていません)に、あるいは『ときメモ4』から『ときメモ5』に、さらには別シリーズ間で、データを継承できるようにならないか。
データの内容は、ヒロインの容姿のカスタマイズやプレイヤーの趣味嗜好など、多岐に渡る。前回までに見てきた、生活行動の履歴を参照するというのもある。
あるいはたとえば、『ラブプラス』のUIを、DSとタッチペンではなく、フィギュアにもできるだろう。『武装神姫』の例もあるし、『電脳フィギュア』のように仮想的なフィギュアでも構わない。あるいは抱き枕にスピーカを内蔵するとか、何でも構わない。
こうしたデータ継承の実現可能性が高いのは自社のタイトル間でのデータ継承だろう。だが究極的にはOSと同様、ギャルゲの共通規格ができれば、キャラクターにとって、個々のゲームはネットワークのひとつのノードでしかなくなる。つまり、ギャルゲが広大になる。
「ラブプラス STAND ALONE COMPLEX」
これは『攻殻機動隊』のゴーストのような概念である。どういうことか?
既存のギャルゲにおいては、ゲームをコンプリートすれば、そこでキャラクターに関するストーリーも終わる。ここで、冒頭に述べたように、メディアミックスなどによって、同じキャラクターが別の作品に登場することはある。
しかし、プレイヤーとのコミュニケーションの蓄積は、作品ごとにリセットされてしまう。それを継承できないか、というのが今の論点だ。*2これは、『攻殻機動隊』で言えば、素子が素体を乗り換えるということに似ている。
たとえば、『ときメモ』シリーズのヒロインが『ラブプラス』シリーズに出演することを想定する。すると、身体は『ラブプラス』の高嶺愛花だが、記憶は『ときメモ』の藤崎詩織、あるいは外見は小早川凛子だが、記憶は紐緒結奈といった入れ替え、さらにはその逆パターンも考えられる。*3
そのままではあまりに不自然で違和感があるだろうから、アバター的な素材の組み合わせによって、『ラブプラス』内での近い外見が採用すればよい。これは、前に挙げた『3Dカスタム少女』で、外見を模倣するのに近い。あるいはDLCによってスキンを追加することも可能だ。
しかも、『ドリームクラブ』で「(ラブプラスなどのヒロインの名前)〜から聞いたんだけど、〜なんだって?」などと噂が伝わっていく、人間関係の拡張や継承ということも考え得る。さらに、『ガンパレ』の群体AIの概念が、タイトルを超えて適応できれば面白い。
終わりなき日常を生きるキャラクター
ゲーム以外にまで拡張すれば、自動販売機やATMや改札やカーナビでも、行った先のUIが個人に合わせてカスタマイズされた反応を返す、ということが考えられる。
もちろん、今は現実味がない話だが、RFIDのような技術によって、人間を個別に識別することが可能になっており、将来的に全く実現不可能ということもないはずだ。
すると、「千年女優」ではないが「一生ヒロイン」が出てくるかもしれない。たとえば、「おい」「はい、お茶ですね(電気ポットでお湯を湧かしています)」というツーカーの反応が返せるまでになった存在だ。
今は『ラブプラス』が浮気だと感じるのは人間だが、未来では逆にゲームのヒロインの方が、人間への浮気だとする状況もありうるかもしれない。そこでのギャルゲのヒロインは、終わりなき日常を生きるキャラクターとしてあるのだ。
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