『ラブプラス』より未来のギャルゲを構想する3・情報共有型ゲーム

概要

ラブプラス

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(注:以下は個人的な構想で、実際のゲームの説明ではありません


『ラブプラス』より未来のギャルゲを構想する2・空間同調型ゲーム - 萌え理論Blog


未来のギャルゲを構想したい。前回は、ギャルゲ最前線に位置する『ラブプラス』の、時間同期性と関連して空間同調性の概念について考えた。今回は、「情報共有性」について考察していく。

ここでいう情報共有性は、ユビキタス環境のネットワークに蓄積されるデータを利用することで実現される。それでは、具体的にどんなことが実現できるのだろうか。以下、詳細を述べていきたい。

構想・情報共有型ゲーム

俺の嫁」の実現

Amazonにはリコメンド機能がある。今まで買った商品の傾向と似た新商品を推薦したり、この商品を買った人は他にこんな商品も買っている、と紹介したりする機能のことだ。

実現可能性の話は後回しにするが、もしそうした情報がゲーム機で使えたら、「俺の嫁」がバーチャルな形で実現できるのではないだろうか。どういうことか。

たとえば、ゲームのヒロインが、「○○君は、セブンスマートで、豚骨ショウガ味の大きいカップラーメンを選んだんだよね……」*1などと、プレイヤーの生活を詳しく知っている状態になる。

そこから、カップラーメンは身体に悪いという話になり、さらに料理の話に発展すれば、自然な会話の推移になる。人工無能系のキャラクターとの会話では、文脈を無視した噛み合わない発言がよく出てくるが、その不自然さを克服できる。

それだけではない。既存のギャルゲ、特に「ときメモ」においては、プレイヤーがヒロインの情報を受け取り、そのヒロインの嗜好に合わせていく、という一方的な流れになる。これには、ヒロインの「ご機嫌取り」ではないかという批判もある。

しかし、ヒロイン側がこちらの情報を知ることができれば、向こうもこちらに合わせる展開が可能になり、より濃密なコミュニケーションをしている感覚を味わえる。

デスクトップマスコット

 株式会社コナミデジタルエンタテインメントは、ニンテンドーDS用ソフト「ラブプラス」のキャラクターが登場する、Windows用デスクトップウィジェットラブプラスお天気情報ウィジェット」を、9月14日に公開した。

ここまで述べたようなことと、現在時点で一番近い発想は、デスクトップマスコットだろう。すでにコナミは、『ラブプラス』のデスクトップウィジェットを公開している。

これは、基本的に天気情報のデータにキャラクターのUIが乗っているだけで、前述ほど複雑なシステムではない。

しかし、これに加えて道路渋滞などほかの情報も伝え、どこに出かけるか聞くといったコミュニケーションもし、履歴を蓄積するようなシステムに発展していくことは想像できる。

いまはオマケ的な要素なので、ゲーム本体とデスクトップ用のアクセサリが分離している。だが、将来的にデータを同期して、ゲームと連動させることも可能だろう。

情報共有性と空間同調性の組みあわせ

この情報共有性は、前エントリで述べた空間同調性と組み合わさることによって、さらに実用的なシステムになる。

たとえば、リコメンドがGPSと組み合わさると、「そこの近くの店でバーゲンやってるよ」といったアドバイスができるようになる。ここまでくれば、本当に「俺の嫁」的な振る舞いではないだろうか。

はたして、そんなに上手くいくだろうか? たしかに、最初は、そうした情報は取って付けたような、よそよそしいものになるかもしれない。

しかし、Amazonのリコメンド、あるいは迷惑メールの自動仕分けが、使えば使うほど最適化されるように、時間の経過につれて使えるようになっていくと予想される。

特に、これから生まれてくる世代については、生まれたときから履歴が蓄積していくことが想定できる。すると、人間の知り合いよりその人について詳しい、ということが起きうる。これは「バーチャル幼馴染み」ではないか。

最後に少し脱線するが、古典的なSFの世界観では、ロボットが人間に反乱する、というテーマが見られる。しかしここまでの考察を踏まえると、むしろ人間に対して「どちらが主人か分からない」という、両義的な立場に立つように思えるのだ。

資料・政府のユビキタス戦略

実現可能性について、補足資料を載せておく。政府は、e-Japan戦略・u-Japan政策に基づき、ユビキタスに関する様々なプロジェクトを立ち上げてきた。

ごく大雑把に説明すると、少子高齢化バリアフリー社会といった社会通念や、災害に対する危機意識などによって、移動支援システムの必要性が意識されるようになってきた。

移動支援というのは、GPSRFIDなどの情報アーキテクチャと、案内板や誘導標識などの交通アーキテクチャが連動することによって、目的地へ誘導することだ。

国はその情報システムについて、ユニバーサルでオープンで汎用的なものにしたいという考えを示している。というのも、観光など複数の目的と結びつかないとコストが高くなるからだ。

したがって、ゲームのようなエンターテインメントのレベルでも、そうした情報インフラが使えるようになるかもしれない。

さらに加えて、Amazonの「ウィッシュリスト」やプロフィールサービスのように、他の情報と連動していけば、個々のサービスからは予想できないような、いわゆるマッシュアップが可能になる。

アニメ・ゲーム産業の振興や、萌えキャラによる地域振興といった、他政策との整合性も持つので、ありえなくもない未来像だと考えている。

*1:何かこの例がもうすでにディストピアっぽいが、もっと自然な例があるだろう