現代ミステリに十戒も二十則もいらないのでは

ノックスの十戒」「ヴァン・ダインの二十則」はミステリ界では常識的なことなので、わざわざ書くほどのことかと思う。しかも、流水大説竜騎士大説などを見るに、現代の推理小説(大説)では、十戒や二十則は完全に無視して書いても、(激しい批判を受けながらも)ヒット作になりうることが分かる。だから、現代ミステリにおいては、10も20も合わせて30も覚えなくても、たった1つの簡略版で十分なのではないか。

読者の知らない手がかりによって解決してはいけない。

事件の謎を解く手がかりは、全て明白に記述されていなくてはならない。

この一戒・一則どちらか一方で十分なのではないか。「秘密の通路や秘密室を用いてはいけない」「科学上未確定の毒物〜を使ってはいけない。」といったことは内包されているし、一方「探偵自身が犯人であってはならない」といったことはOKになるが、今ではありふれているので別に構わないのではないか。「地の文で偽の記述をしてはいけない」という、現代でも生きている重要なルール*1も、「読者の知らない(分かりようがない)」という部分に含まれていると考える。どうだろうか?*2

*1:単に偽の記述が許されれば、叙述トリックの意味がなくなる。

*2:もちろん、一戒・一則にしてもなお、「ひぐらし」はそれを破っている。