次世代同人フレームワークとしての「東方Project」

第11回 文化庁メディア芸術祭 OPEN FORM 推薦作品 結果報告

エンターテインメント部門
東方Project』 ZUN

第38回一橋祭 シンポジウム企画特集 「幻想伝承〜想像の継承と終着〜」

講師紹介
ZUN氏(同人サークル『上海アリス幻樂団』代表)

上海アリス幻樂団」の『東方Project』は、「07th Expansion」の「ひぐらしのなく頃に」シリーズが一段落した今、同人界で最もポテンシャルの高い作品群になっている。創作同人においては、月姫ひぐらし→東方という順に、ユーザが想像する余地が広がっており、原作が「フレームワーク」化していると考えている。どういうことか。

ひぐらし」の求心力は物語にあった。もちろん、登場人物の魅力もあるだろうが、やはりミステリの謎によって中心化されており、謎の答えは原作が握っている。だから、「解」以降の展開が波紋を呼んだのだろう。だが「東方」はそれよりさらに抽象度が高く、個々のキャラクターや音楽の断片が拡散して波及している。

例えば、ニコニコ動画の会員は既に300万人を超えているが、そこで人気がある「IOSYS」の『魔理沙は大変なものを盗んでいきました』及びその派生MADが、原作STGよりも目立っている。もっとも、そのような盛り上がり方は、古参のファンからすれば面白くないかもしれないし、ニコ動では東方関連の音楽が、権利者の要請によって削除されている。

ともあれ、時代の流れを先取りしているのだ。そして、文化庁メディア芸術祭や一橋祭の講演会など、外部への露出が東方の時代の到来を予感させる。すでに漫画化もされているので、将来的にアニメ化がありうるかもしれない。もともと有名同人だが、今後さらに要注目のサークルなのは間違いないだろう。

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