「リリカルなのは」の大河化

魔法少女リリカルなのはStrikerS』の特徴は、主人公なのはが前作から年齢的に成長しているだけでなく、実質的な主人公の位置からも退いていることである。物語の主役はなのは(とフェイトら)からスバル(とティアナら)に移行して、なのはが理想の先輩という脇役的なポジションに立っている。第1回・2回はスバルらを試験する話で、失格だが再試験という形で気を利かせるシーンでは、完全に先輩役の立場になっている。この世代交代に近い配役は「SEED DESTINY」も割とそうかもしれない。

そして、*1なのはが大人になってしまって、「魔法少女」というのがやや苦しくなってきている。いや、「奥さまは魔法少女」のような強引な作品があるので、年齢は関係ないかもしれない。もしかして今後、結婚や子育てに焦点が移ってきたりして…。もう一つ、「パトレイバー」や「攻殻」のごとく組織を回す視点*2で描いていくのも、魔法少女ものでは珍しい。ふつう魔法少女が活躍するのは変身によってのみであり、素で有名なのは少ない。

リリカルなのは」は、魔法少女にふつうに人生を歩ませてしまうところが、「大魔法峠」のような魔法少女のパロディよりもよっぽど過激だと思う。また、ベッドの上でくつろいで三人で仕事の話をしているところなどは、なんとなく「Aika」みたいな女スパイ系の雰囲気まである。正直なところ、今後この作品がどう展開していくのか分からない。NHK大河ドラマは武将の少年期・青年期・壮年期で、また別の味わいがあるものだが、そういう「魔法少女大河アニメ」なのかもしれない。

*1:放映前から言われていることだが

*2:「機動六課」という設定もあり、メカものに近い世界観になっている。そうした視点で見ると「デバイス」も魔法のメカ化の要素かもしれない