「図解! あなたもいままでの10倍速く本が読める」書籍レビュー

フォトリーディング」という速読の技術に関する本。ウッディ・アレンが「速読講座を受講したら『戦争と平和』を20分で読めた。その本はロシアについての話だったよ。」というように、「速度が上がっても内容が覚えられないのではないか」という疑問が速読には常にあった。だがこの本では、速読系の類書と微妙に違うスタンスで書かれている。記憶が潜在意識に残っていればいいのだという。すなわち、PCが記憶媒体としてメモリとキャッシュとハードディスクを使い分けるように、曖昧だが量は多い二次記憶の領域を作ろう、という考えを取っている。これは面白い発想だ。

本文中では潜在意識=潜在能力=人類の未知なる力のような右脳信仰がやはりあるが、それを差し引いて、記憶の文章量と記憶の再現性で完全にトレードオフの関係になっているとしても、モードの切り替えには意義があると思う。なぜなら、本・文章にも色々あって、全部を丁寧に精読する必要はないけれど、どの箇所に何が書いてあったか記憶して後でじっくり読み直すという方法が有効な場合があるからだ。例えば何かの説明書はそういうことが多い。もちろん、最初にざっと斜め読みする位のことは誰でもやっているが、より検索的読みを意識した技法になっている。

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