生の無条件の肯定のために2.0〜「働いたら負け」と思わせる法〜

asahi.com:残業代なし1千万人に 労働時間規制見直し試算

 この制度は、1日8時間を超える場合は割増賃金を支払わなければならないとする現在の労働時間規制の対象から、年収が一定以上の人を外すというもの。時間でなく、成果に応じて賃金を支払いたいとする経済界の要望に沿ったもので、「400万円以上」は日本経団連が提案している。

 労働総研は、国税庁の民間給与実態調査や総務省労働力調査をもとに試算した。05年の会社員約4500万人のうち、年収が400万円以上の人は約2300万人で、管理職らを除くと約1013万人となった。

 一方、厚労省の毎月勤労統計による1人平均の年間残業時間156時間に加え、不払いの残業時間も年間240時間あると推定。計396時間に対象者の時給をかけて総額11兆6000億円、1人年間114万円が支給されなくなる計算になった。


この案は以前から出ているんですけど、これほど目先の利益に走った制度はないでしょう。給料も時間も減るわけだから、消費できなくなって「売れない→安くする→給料減る→売れない→…」というデフレ地獄になって、経済は余計ひどくなるのでは。いや…仮に百歩譲ってこれに多少の経済効果があったとしても、無意味に給料を減らすこと*1が許されるのでしょうか。これが通ったら、過労死や過労自殺が増えるでしょうが、企業側にしてみれば「勝手に残業して勝手に死んだから自己責任」とか何とかそんな理屈になるのでしょう。


これは現在の1000万人の労働者以外にも当然関係ある話です。というのは、結婚して専業主婦になると決めている女性でも、相手がこれのおかげで年収が下がる可能性があるわけですし、学生や対象外の労働者でも、将来この無給化の煽りを喰らう可能性があるかもしれない。いったん変わったらそう簡単に元に戻せないですから。でも、私が無知なだけかもしれないですけど、ネットでこれの反対運動が盛り上がってるところあんま見ないですね。「死ね死ね詐欺」とかよりこっちの方が余程深刻だし、ある意味こっちが「死ね死ね詐欺」でしょう。冗談抜きで「過労で死ねという残業代に関する詐欺」と解釈できなくもないのではないでしょうか。何か他人事っぽい空気ですよね。やはり「自転車置場の議論」で感情的に盛り上がるのがネットなのかなあ…。

*1:成果賃金だから減らすとは言ってないよなどと白々しいことを言うだろうけれども