「空気系」の定義
樹海エンターテイナー:『空気系』記事のまとめ
萌え理論Blog - 「空気系」作品と環境音楽
定義
- 物語の目的が薄い
「空気系作品」を簡明に定義した。「目的」の具体的な例は、「成長」「勝利」「恋愛」「解決」「脱出」「救出」「発見」など色々ある。要するに、(どちらかが死ぬような重大な)対決形式など、「成功/失敗」がはっきりしている枠組みをあまり使わない。
物語の目的とはテーマであり、それを欲望するのが主人公なので、空気系の作品は主人公の存在感が薄くなる。例えば『あずまんが大王』は、登場人物がほぼ並列*1だろう。また、無目的だと時間性*2も弱まるので、オムニバス形式に親和性がある。さらに四コマに向いている。
さて、この定義の派生として、次の禁則事項がある。この三つも非常に成否がはっきりしているものだ。
禁則
- 人が死なない
- 性行為がない
- 読者が爆笑しない
性・暴力・笑いをストレートに表現した作品を「空気系」に分類すると違和感があるだろう。この三つの要素は「空気を乱す」ものだから、空気系作品から追放されている。セックス&バイオレンスの空気系作品はありえない。
ギャグも過激にはならない。例えば、「女の子がバーベーキューをしているときに髪が焦げてショートカットにする」のはよいが、モヒカンやスキンヘッドにはしない。同様に色気も暴力も薄める。パンチラは良いがセックスはしない。どついて空まで吹っ飛ばしてもよいが、それで死んではいけない。
したがって、漫画版ゲゲゲの鬼太郎などはかなり雰囲気重視だが、「死」があるので弾かれることになる。エロゲは性を描くので、原則として空気系には含まれないことになる。ただし、「日常パートは空気系」という風に、局所的に当てはめるのは可能だろう。
例外的に扱うのではなくて、そういうものまで含めたい場合、「重い空気系」を作るという手はある。「気圧配置」という概念があって、例えばエロゲの場合なら、Hシーン付近は気圧が高くなる。そうした視点で見れば、例えば『涼宮ハルヒの憂鬱』は、実は空気系なのだが、気圧が高いのでそう思われていない作品なのかもしれない。