メディアミックス2.0

コンテンツ地主

kajougenron: コンテンツ産業の開発業者化

この話は、将来のコンテンツ産業においては、DVDを売る(情報財を売る)のではなく、まず無料で作品をばらまいて、そのあと「その作品を使ってコミュニケーションする人々」に課金するような、そういうビジネスモデルが優勢になることを意味している。そして、検索連動型広告のように、そのような小額課金が可能な新たなプラットフォームがいま続々と提案されつつある。

しかし、これはなにを意味しているだろうか。

その意味するところは、おそらく、クリエイターの「地主」化、コンテンツ産業の「デベロッパー」化である。


サイバーエージェントがゲーム内広告に参入--9月1日に新会社設立 - CNET Japan
すでにそのような試みは始まっているようだ。


コンテンツ自体よりコミュニケーションに価値が移るというのは、RPGMMORPGの関係を想起させる。そのような変化は、「祭り型コンテンツ」に相応しい。例えばハルヒなら、YouTubeで見られてもDVDやCDが売れている。これがさらに、SNSを作って課金すれば上記のモデルに近づくだろうか。しかもそのSNSではアバターのような感じで画像などが自由に使用できると面白い。

コンテンツ大家

元記事では「地主」化に対して批判的だったが、私は違う観点から述べたい。コミュニケーションが土を耕し、作品の肥やしになる場合もあるのではないだろうか。まず視点を変えるために比喩から変えてみよう。作物と土地ではなく、一戸建てと集合住宅のモデルで考える。どういうことか。


例えば、商業が同人(二次創作)を取り込むモデルだ。二次創作が前提にしている共有部分(設定やキャラクターデザインなど)に対する管理費を払うことで成立させる。すぐ実現する見込みはなくても、将来の同人市場が更に大きくなったときにはありうる。これはP2Pの共有ソフトが課金システムとしても使えることと同じ構造だ。下に参考記事を示す。


IIJ、Winnyを応用したP2P型コンテンツ配信「SkeedCast」を本格展開へ

メディアミックス2.0

萌え理論Blog - 未来同人アマゾンII
萌え理論Blog - コミックマーケットのロングテール説


Webの流行以前から、コミケWeb2.0を実践していたと言えるかもしれない。コミケロングテールに関する考察は上の記事を見て頂くとして、ここではメディアミックス全般の話をしよう。


私は事態を元記事とは逆に捉えている。例えば批評というのは素朴に考えて、作品の価値付けという側面があると思うが、作物の質的向上には関係ないのか。というよりも、批評も作物ではないだろうか。もしかすると元記事のカテゴライズでは、プロの批評家が書いたものは作物だが、ブログで書いたものは作物ではない、というような区分になっているのかもしれない。その区分はまあ常識的なのだが、ここではあえて、プロ/アマ・創作/消費・芸術/娯楽…といった、後者が二次的なものとする二項対立の図式を無視している。


メディアミックス1.0では、アニメ化・ゲーム化など他の既存のメディアにコンテンツの内容を移植するものだった。しかし、ここで提唱する「メディアミックス2.0」では、そもそもメディアと見なされていないものに移植する。例えば最近のキャラクターグッズとその流通の多様性には眼を見張るものがある。いつ頃からか、マンガにフィギュアが付くのが当たり前になった。マンガがアニメ化するのと、マンガにフィギュアが付くのは少し異なる事態だ。もっともこの場合、単に抱き合わせているだけで、表現の本質には関係ないと言えるかもしれない。だが、ゲームとフィギュアが連動(KONAMI、フィギュアと連動するオンラインゲーム「武装神姫」9月よりサービス開始)するという風に進化すれば、また新しい可能性があるだろう。


つまり、メディアミックス2.0とは、「メディア」「コンテンツ」「クリエイター」といった概念自体をミックスするのである。