コミケの男女差の原因を考える

イントロ

Screw Pile Driver - お客様は家畜ですと言わんばかりだと思った夏コミ3日目。
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ARTIFACT@ハテナ系 - 同人活動における男女の違い


コミックマーケットのサークル参加者は常に女性の方が多いという。一般参加者は男性が多いという情報と女性が多いという情報があるのだが、ここでは男女が半々位だと想定しておく。TYPEMOONもひぐらしハルヒも主に男性向けだし、売上げは男性向けの方が多そうな気がするが、公式な資料が見つからなかった。ただ代わりに興味深い資料を見つけた。


亡国データバンク日記


「亡国データバンク」の自サークル前交通量調査(13日調べ)によると、12時を過ぎると人口が減少する現象が見られた。調査ではこれを「買専撤収期」と名付けている。これに対し、例えば昼食を取っているという解釈もできるが、昼を過ぎても元の水準に戻らないので、買専の撤収と見るのは妥当なところだろう。全体を俯瞰した統計が欲しいが、さしあたってここでは、買専は男に多いだろうということを前提にする。

男女の違い?

冒頭のリンク先では、男は殺伐と売買しているが、女はコミュニケーションを楽しんでいると指摘されている。だがこれは、単純に男性向けサークルが商業指向だからではないか。例えば、成人向けマンガ家やアニメーターは(近年女性の比率が上がっているものの)男の方が多いだろうから、その副業としてのサークル活動や予備軍の活動も多くなるだろう。


当然、女のマンガ家もコミケに出るだろうし、男が趣味でサークル活動することもあるのではないか、という反論はありえる。しかし、男は結婚したからプロ(のマンガ家等)を止めることがないのに対して、女は結婚したことで商業活動を停止することはよくある。この非対称性は見逃せない。要するに、主婦になれば同人でガツガツ稼ぐ必要はないのだ。また趣味の場合は、休みがとれない、副業がバレたくないという動機も男の方が強そうだ。

売り手と買い手

売り手と買い手の両方がいなければ売買は成立しない。売り手のプロ指向は買い手の買専指向と直結している。売れる物を売るのがプロ・プロ志望・専業同人であり、買いたい物を買うのが客(コミケは全員参加者という建前だが)である。何が買われ売られるかといえば、成人向け・二次創作になる。これはデータがなくても、健全・創作より売れるのは確実そうだ。健全創作はプロのマンガを買えるが、(一部のアンソロジー本を除いて)二次創作は商業誌にはないのだから、どうしても買いたい客が集まってくる。


ここまでの説明はいわゆる下部構造決定論になっている。女は主婦がありえるが、男のプロは収入源がそれしかないので、副業や登竜門としてのコミケでは自然と商業指向になる。それに連動して、(転売屋も含めて)客も買専が集まってくる。そして商業で売れない成人二次創作が売れる。ここまでの説明は男女の生物学的差を考慮に入れていないので、もし「女は仕事で男は家庭」という社会構造になった場合、逆に女が商業指向的になると想定される。


これは推測だが、専業同人比率が男の方が高いのではないだろうか。だいたい、女性向けサークルは女性のみだが、男性向けサークルは男・女がいる。やはり商業的・専業的なベクトルがありそうだ。ただ、男性向けには女が容易に参入できるのに、やおいには男が参入しにくいというのは、ただの需給関係だけではなく、セクシャリティや表現の本質的な問題が関係しているのかもしれない。