デザイン変更

デザイン的には小さい文字の方がお洒落ですが、可読性が低いと感じているので、文字サイズを大きくしたり、本文とサイドバーを線で区分しました。また、黒枠が不調和だし画像で重くなるので気が進まないのですが、Amazon側の仕様変更によってインスタントストア経由の売上げが激減しているので、やむをえずサイドバーにAmazonのライブリンク広告を入れました。インスタントストアを使用した「萌え理論Store」も、今月いっぱいで閉鎖する予定です。

ご冗談でしょう、山形さん

山形浩生 の「経済のトリセツ」  Supported by WindowsLiveJournal - クイズ:経済学者3人にきいてみました。

The productivity of a worker equals the real product wage, that is, the wage measured in units on the product he is producing.

労働者の生産性は実質製品換算賃金 (real product wage)、つまりその人が生産している財ではかった賃金と等しくなります。
(グレッグ・マンキュー(ハーバード大教授/山形浩生訳)

後半でかれが言っているのが、すでに出ている話のどういう部分に相当するのかは、読者が自分で考えてみてね。

素人目に見ても、その部分は池田氏の議論に近いでしょう。下も参照。

Individual wages are based on the value of a person's productivity. That would be the price of what he or she is producing times their marginal product.

http://cruel.org/econ/wheaton.html

個々の賃金は、その人の生産性の価値に基づく。これは、その人が生産しているものの価格と、その人の限界生産量をかけたものになる。
ビル・ウィートン(MIT 経済学部教授/山形浩生訳)

普通の経済学では、賃金は労働の限界生産性と均等化すると教えている。
池田信夫

http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/cd4e52fd7cca96ac71d0841c5da0cb75

微妙に言い回しが違うけど*1、二人とも池田氏と同じこと言っているような気がしますが…。まあ手紙の差出人なので多少遠回しに指摘してるけど。

(そもそも元エントリじゃなくて自分に有利になるような形で質問時に書き直しているのもアレだけど・これは関連リンク参照)自分に不利な部分は曖昧にしておけば、ブロガー連中は分からないだろう、という発想は、随分はてダ・はてブも舐められたものですね。でも実際終わってる(誰も気付かない)から仕方ないのでしょうか。

*1:賃金を生産物の価格で割ったものを実質生産物賃金(上では「実質製品換算賃金」と訳している)と表現し、「労働者の限界生産力が実質生産物賃金と等しい」と「賃金が、生産物価格と労働者の限界生産力の積に等しい」は式を変形すれば同じ意味になる

BOTの生産調整

上記で現在稼動している自動ブクマBOTですが、今後は運転を調整することにしました。「d.hatena.ne.jp/sirouto2/」をBOTがブクマするのは禁止しているので、このブログのはてブでの相対順位が下がってしまう、という理由からです。最初は誤差の範囲だろうと甘く見ていたのですが、量が増えてくるにつれて無視できなくなってきました。ただでさえ、はてブ上位に大きく差をつけられている現状なのに、BOTがブクマすればするほど、はてブ市場での相対的な生産力が減って、自分の首を絞めてしまいます。具体的には、users数の閾値を上げて、ブクマの増加数を減らします。はてブは削除する機能が貧弱なのですが、もしインポート機能がついて、ローカルで編集できるようになれば、古い記事から消せたりするので、そのときはまた生産量を増やせると思います。

生産性議論についての補足

分裂勘違い君劇場 - 今回の生産性論争の流れを簡潔・公平・分かりやすくまとめてみた

さすが劇場だけあって絶妙なタイミングのまとめですね。ええと、実は相対賃金説というのが既に大昔からあって、不完全情報の市場では労働者(企業も)が自分の限界生産性を知らず、また組合が格差を縮めるように要求するので、賃金が相場に依存するという説明があります。労働者の限界生産性が分からない状況は、現実ではある意味普通で、働くまでどれ位生産できるか分からないし、企業も働かせるまで分からないものでしょう。

だから普通は新卒とか大雑把な単位で括ってしまいますが、それでも職場全体では限界原理が働くだろうし、成果評価や歩合制で粒度が変わることもあるでしょう。また、法律で最低賃金を決めたりして賃金は下方硬直性があるので、賃金ではなく失業率の形で現れることもよくあります。でもこの話は、限界生産(というか労働の需給)モデルを元に複雑化したのであって、平均的生産性なら説明できるというのとは少し違います。

分裂勘違い君劇場 - プログラマの労働条件を過酷にしているのは、過酷な労働条件を受け入れるプログラマです

だから、このfromdusktildawn氏の主張は、相場による賃金ではなくて、より限界生産を反映した賃金へ、ということではないですか。プログラマが書いた何百万行ものプログラムはすぐに生産性が判明せず(後々隠れたバグが見つかるとか)、不完全情報のため人月とか行数の丼勘定になってしまいます。そうやって人数で決めると、例えば優秀なPG一人でやれるところを、平凡なPG10人でやれば十倍になる、という理不尽な賃金体系になります。だから自分の価値を知って意思決定して交渉しろ、という話ですが、それこそ先に述べたように、自分の限界生産力を知って、競争による賃金に近づけようということでしょう。

確かに産業間の微妙な関連性はあると思うけど、市場の情報は不完全なので「平均的な生産性」なら、その全体を見通せるわけでは全然ありません。今までの議論の流れで、「限界」は経済学的概念として単純化するけど、「平均」の方は現実の事情を全部入れて、後者の優越を説くタイプの議論がありましたが、全くナンセンスです。

それはモジュール化しないで全部一つの関数にしちゃえばプログラムの生産性が上がる、といったような乱暴な議論です。現実では紙片より鉄球が早く落ちるからといって重力の法則が成り立たないわけではないでしょう。ただ、「実証データ」については、計量経済学の方であると思うけど、いかんせん専門家ではなくて素人なので、すぐ引っ張ってこれないですね。

最初のまとめに書いたことを繰り返すと、「生産力の向上」を掲げて製造業に力を注いだらそれに引っ張られて社会全体が豊かになるかといえば、なりませんでした。これは教科書に書いてあるわけではなくて個人的な思考ですが、全体の平均よりも部分の限界(極値)を最適化した方が、上手く行くというのが近代経済学的発想でしょう。なぜそれが上手く行くのかといえば、神のみえざる手というところでしょうか。