ラスボスを倒すとラスダンも崩壊する件について2

概要

不倒城: 世の中にはボスを倒されると丸ごと崩壊する基地やダンジョンが多すぐる


アニメ・ゲームなどで、敵側のラスボスが倒されると、連動してラストダンジョン(ラスダン)も崩壊する、というよくある約束事について。前回の記事では、主にファンタジーRPGを念頭においたが、今回は現代が舞台のゲームについて考察する。

考察

バイオハザード」ならラスダンが崩壊しても仕方ない

(※以下、掲載タイトルについて、一部の内容に触れます。いわゆるネタバレ

ゲーム『バイオハザード』(シリーズだが、初代を念頭に置く)は、クライマックスで自爆する建物から脱出する。

ヤバくなったら破壊しなければならないような拠点を作ることに問題がある。

バイオハザード』における研究所の研究は、機密事項であるため仕方ない。もちろん、「研究しない」というのが一番問題ないが。

明確な行動目標になるようなところに設置してはいけない。

研究所は戦闘施設ではないし、その存在自体が隠蔽されているので、これは問題ない。

相手の手に渡ると困るような文書や資材は緊急時には焼却・破壊の準備をしておかなくてはいけない。

焼却処分ができれば一番良いが、「バイオハザード(生物災害)」が生じたときに、実行できる所員が不足することは、容易に想定できる。そこで、少人数でも実行できる自爆が確実な手段だ。

自爆機能の誤動作のリスクはきちんと考えてあるのだろうか。

まず、自爆装置は起動してから爆発するまでに数分の猶予がある(だから、主人公たちが生還できるわけだ)。平常時なら大勢の所員がいるだろうから、ヒューマンエラーによる誤作動は、停止できるものと思われる。

機能分散、ディザスターリカバリー、緊急時対応のマニュアル化など、処理しなくてはいけない課題が山積みである。

ラスボスの権能が冗長化されていない時点で組織としてどうなのか。

ラスボス(ロケットランチャーで倒す奴)とラスダン(に関する権能)が連動していないため、この辺りの問題もクリアしているようだ。

結論としては、『バイオハザード』の自爆関連の設定は、整合性が取れていると考える。現代物で、かつ、組織悪を描いているため、組織に関する設定もしやすいのだろう。

このように、必ずしも「お約束=嘘」とは限らない。なお、『バイオハザード』の後続・派生作品に、『ディノクライシス』『デビルメイクライ』などがあるが、やはりラストに崩壊する建物からの脱出シーンが描かれている。

ラスボス(?)を倒しても、ラスダン(?)が崩壊しない

ゲーム(サウンドノベル)『かまいたちの夜2』では、(ルートにより展開は異なるが)推理して犯人を当てた後で、舞台となる島が津波に襲われる。そのとき、登場人物たちは、屋敷に避難することになる。

今まで殺人の舞台になっていて、どこにも逃げ場所がないように感じる恐ろしい場所が、今度は逆に登場人物を守る安全地帯のようになり、印象が全く反転する。

これは「ラスボスを倒すとラスダンが崩壊する」というパターンに当てはまらない。ただし、「ラスボス」「ラスダン」をかなり広義に解釈しているので、この例には違和感もあると思う。参考までに。

自爆問題の回避法

ここまでの例は特殊だが、もっと簡単に自爆問題を回避する方法がある。それは「自爆」を「火災」に置き換えることだ。火災は事故であり、大部分の建築物で避けられないので、自爆問題の疑問が生じない。

つまり、ラスダンは自爆しなくても、そのときは火災など他の事故で滅びる運命にあるといっても過言ではない。どのみち崩壊するのなら、最後の盛大な花火として、自爆してもよさそうだ。

実は、ラスボスも「もしものときがあったら、自爆装置くらいつけておきたいな……」と、保険や墓地を検討するときのように、なんとなく運命を悟り弱気になって、自爆装置をつけるのかもしれない。

だから「祇園精舎の鐘の声〜」ではないが、自爆にはどこか、「諸行無常の響き」や「盛者必衰の理」を感じさせるものがある……かもしれない。

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