なぜ『アイドルマスター ディアリースターズ』はDSソフトなのか?

概要

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アイドルマスター ディアリースターズ』は、ニンテンドーDS用ソフトとして、ナムコバンダイナムコゲームス)から発売された。発売から約一週間経った現在で、約3万本の販売実績がある*1。ここでは『ディアリースターズ』をゲームハードの面から考察しよう。

なぜ『ディアリースターズ』はDSなのか?

ゲームハード ニンテンドーDS PSP Wii PS3 Xbox360
累計販売台数 2765万台 1265万台 861万台 361万台 113万台

(※アスキー総合研究所調べ*2


2009年9月時点での、ゲームハード累計販売台数(国内)を、上の表とグラフにまとめた。このように、ゲームハードの普及台数には圧倒的な差がある。据え置き機三種を合わせてPSPと同じくらい、さらにPSPも含めたDS以外の4種を合わせて、やっとDSと同じくらいの台数になる。

これを見れば素人目にも、DSやPSPでリリースする動機が一目で分かるというものだ。そして実際、家庭用機の初代*3アイドルマスター』と続編の『ライブフォーユー』(L4U)はXbox360だが、『アイドルマスターSP』三作品はPSP、『ディアリースターズ』はDSで販売されている。

普及台数と解像度の順位が逆転する

ゲームハード ニンテンドーDS PSP Wii PS3 Xbox360
最大画面解像度 192×256(2画面) 480×272 720×480 1920×1080p 1920×1080p

(※ゲームハードの性能なので、個々のソフトが動作する際の解像度は異なります。ちなみに、Xbox360の『アイドルマスター』は1280×720


今度は画面解像度を見てみると、普及台数の順位が綺麗にひっくり返る。これは、高画質な据え置き機よりも、ライトユーザを獲得した携帯機の方が、現在のゲームシーンを制している、ということを意味しているだろう。だから、携帯機、特にPSPへのPSギャルゲ作品の移植は多い。

だがユーザ側から見てみると、アイマスは続編が出るにつれて解像度が落ちていく。もちろん、よく言われるように、ゲームの面白さはグラフィックだけでは決まらない。だがアイマスにおいては、3DCGで描かれるダンスステージのシーンが、大きな魅力になっている。

アイマスをアニメ化した『アイドルマスター ゼノグラシア』は、アイドルではなくロボットアニメになった。時にアイマス史においては、ユーザのニーズとバンダイナムコの方向性が食い違う場合がある。

たとえば、『ラブプラス』はDSのインターフェイスを最大限に生かしているが、『ディアリースターズ』は他ハードもありえたのではないか。次でその詳細を展開する。

アイマス仮想戦記

完全に仮定の話になるが、DS以外のハードで出していたらどうなっていただろう? ハードの普及台数が少ないから、不利になっていただろうか。私はそうは思わない。結論から言うと、あまり変わらない(だから解像度の高いハードで出してくれると嬉しい)、と考えている。なぜそう言えるのか?

家庭用初代『アイドルマスター』は、2007年1月25日に発売された。そのときのXbox360販売台数は30万台強。発売から一年後の2008年1月には、10万本*4の売上を達成した。そのときのXbox360販売台数は60万台弱。実にハード所有者の6人に1人が、『アイマス』を持っていた計算になる。

さらに、2008年1月時点で、10万本売れたXbox360用ソフトは、『ブルードラゴン』『デッドオアアライブ4』『アイドルマスター』の3タイトルしかない。そのような経緯もあり、ハードの普及台数は壁にならないと考える。

逆に、DSがXbox360の25倍普及しているからといって、ソフトも25倍になるとは思えない。だから、Xbox360PS3、あるいはWiiでのリリースもありえたと考える。画面が高画質なら、DLCの売上があるし、映像を流用したMAD作品によるCGM効果も高まるのが利点だ。

これは後出しだが、DSで『ラブプラス』と張り合うよりは、Xbox360で『ドリームクラブ』にぶつける方が、浮動層に対して有効だとも思う。というより、高画質のアイマス的ゲームを欲しい層が、『ドリームクラブ』に流れているかもしれない。

ただし、反対の視点で言うと、Xbox360用第二弾の『L4U』よりもPSP用の『アイマスSP』の方が売れた、というのは大きいかもしれない。しかし、『アイマスSP』は三作品の合計なので、単純に比較はできない。

それから、PSP用ソフト『初音ミク Project DIVA』は、発売一週間で約10万本を売り上げた。アイマスに近い発想だし、ニコニコ動画の御三家同士で、何か絡んだら面白かったと思う。さらに、『初音ミク』と連動した『L4U』のような、PC用ソフトもあれば、話としては面白い。


初音ミク -プロジェクト ディーヴァ-(特典なし) - PSP

初音ミク -プロジェクト ディーヴァ-(特典なし) - PSP

秋月涼は高画質で鑑賞すべき存在

以前の記事で、『らきすた』『けいおん』『東方』など、「ユル百合」系の作品が流行していると書いた。そして、「男の娘」も同じ同性愛的嗜好である。だから、『ディアリースターズ』の秋月涼は、萌えの最先端にいるキャラクターだ。

しかし、それならなおのこと、高画質な映像が欲しくなりはしないか。「男の娘」というキャラクターは、外見の可愛さから来る驚きとギャップによって、「こんなに可愛いのに女の娘のはずがない!」と十全に威力を発揮するからだ。

画質が荒いと、脳内補完が男になりやすい分、「女の娘」より不利になってしまう。秋月涼は高画質で鑑賞すべき存在なのだ。そういうこともあって、HD画質の『アイドルマスター2』が待たれる。

*1:正確には、9月25日時点のアスキー総合研究所調べで約2万9千本、26日時点のメディアクリエイトhttp://www.gpara.com/ranking/mediacreatebn/ranking_20090926.php)調べで3万1千本

*2:http://ascii.jp/elem/000/000/463/463082/

*3:原作はアーケード

*4:プラチナコレクション版も含む