『ラブプラス』より未来のギャルゲを構想する
概要
- 出版社/メーカー: コナミデジタルエンタテインメント
- 発売日: 2009/09/03
- メディア: Video Game
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(注:以下は個人的な構想で、実際のゲームの説明ではありません)
未来のギャルゲを構想したい。そこで、ギャルゲの最前線に躍り出た『ラブプラス』に注目する。この作品の時間同期性は、『アイドルマスター』や『ドリームクラブ』に、『ラブプラス』とはまた別の形で実現できると考えている。どういうことか。
『ラブプラス』がいくら画期的なゲームといえど、さすがに2年間も飽きずに持たせるのは難しいだろう、という声がある。しかし、たとえば1週間に1度のペースなら、2年でも実質は約3ヶ月のプレイになるから、持続させやすいだろう。
そのように制限された時間同期性は、アイドルやクラブというシナリオ上の設定と相性が良いと考える。それは、具体的にはどういったことだろうか。
構想・時間同期型ゲームの応用可能性
『ラブプラス』×『アイドルマスター』
アイドルマスター ディアリースターズ 特典 アイマス芸能界のアイドル雑誌「ViDaVo!“ビダヴォ!”」(ヴァイスシュヴァルツ アイドルマスター PRカード「876プロ」封入)付き
- 出版社/メーカー: ナムコ
- 発売日: 2009/09/17
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たとえば、『アイドルマスター』のようなアイドルの世界観を持つゲームを例に取ろう。ここでは、アイドルを育成するプロデューサやアイドル自身の視点ではなく、プレイヤーはファンの立場に置かれるとする。
そして、アイドルと会えるのは週末のイベントだけという設定にして、土日にプレイするというのはどうだろうか。コンサート時に蛍光棒を振るとか、握手会で握手できるだとか、携帯機ならではのUIの活用もできるだろう。
『ラブプラス』×『ドリームクラブ』
DREAM C CLUB(ドリームクラブ) 特典 限定コスチュームDLCカード付き
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もうひとつ、『ドリームクラブ』のようなクラブの世界観を持つゲームを例に取ろう。クラブの開店・閉店時間や、メンバーが出勤する曜日が設定されているものとする。
そして、閉店中や非出勤日の期間でも、一定の好感度以上で「店外デート」が可能になる。実は実際のゲームにもあるが、ここでは、店外デートがシナリオの先後関係だけでなく、時間制限を破る例外的イベントという位置づけになっていることが重要である。さらに、携帯機ならば、タッチするUIを活かせるだろう。
コンプリートの放棄とキャラクターの他者性
さて、そうした仕組みのどこが良いのかと思うかもしれない。いつでもできる形にせず、わざわざ制限を課すからだ。しかし、距離を置くことでかえって、キャラクターへの興味が持続すると捉えている。なぜか。
ギャルゲーマには、コンプリートしたくなる性(さが)がある。CG・回想・既読率などを100%にしたい、という攻略欲だ。しかし、コンプリートすれば、あらかじめデータベース化した反応を返すだけ、あるいは人工無能的にランダムに反応を返しているだけ、というデジタルゲームの本質が明らかになる。底が見えてしまう。
さらにそれは、ゲームのキャラクターが予想できない反応を返す、という意味での他者性が尽きてしまう、ということでもある。つまりコンプリートは、ゲームやキャラへの攻略熱から「冷め」「飽き」への折り返し地点になる。コンプリート欲には、金の卵を産むガチョウを絞め殺すような面がある。
そもそも、現実の人間相手には、コンプリートするために、あらゆる選択肢を試そうとする、などということはしない。ゲームの約束事を離れてみれば、会える時間が制限されている方が、むしろリアルで自然な状況だろう。
それに、キャラクターに擬似的な「時間の都合」を与えることで、キャラクターに束縛されるとか、選択肢の選び方を失敗したときのダメージが大きいとか、次に会えるときまでの楽しみが増すだとか、対人的なコミュニケーション要素を与えられる。
既存のギャルゲにおいても、そうした要素がなくもない。しかしそれは、日常の描写が長いとか、場所移動で会えるかどうかとか、育成作業を繰り返すだとか、ゲーム内での遅延によってもたらされており、結果的にボリュームインフレの問題を引き起こす。それを次で詳しく見よう。
ボリュームインフレ解消
ファミコン時代から長期的に見れば、ゲーム全般がボリュームインフレになっている。美少女ゲームも、ADV・SLG・RPG・ACTなど、あらゆるジャンルで長時間化の傾向がある。たとえば、ノベルゲームのシナリオも長大化しているだろう。
すると、積みゲがどんどん重なっていったり、「ゲームは一日一時間」という名人の教えを破ることになったり、特に社会人には厳しいプレイ環境になってしまう。
そこで、やり込み指向・コンプリート目標を放棄して、時間が制限されることによって、かえってプレイヤー側も余裕をもってプレイできる。
もちろん、仕事の休みが休日ではなく平日にある人もいるだろう。その問題については、現実とゲーム内で曜日(や時刻)をずらす機能をつければ済む。
メーカ側にとっても、すぐに中古に売られない、という部分は利点になるだろう。ユーザの反応が不安だと思うが、複数のモードを遊べるようにして、時間同期モードをオマケにすれば、導入しやすいはずだ。
時間同期とライブ効果
初音ミクが出演したライブのニュースは記憶に新しいが、他でも「ニコニコ生放送」など、リアルタイムという概念が薄いネットにも、ライブ化の流れはある。
時間同期性によって、ライブ感を出せる。たとえば、プレイ時間が制限されていれば、ネット上での実況が盛り上がるだろう。
追加イベントはDLC(ダウンロードコンテンツ)を配信する、ちょうど現実でイベントのチケットを買うような形にしても構わない。
そうするとメーカ側にとっても、ゲーム一本単位よりもさらに細かい単位で、ユーザの反応を見ることができる。たとえば、ひとりずつライブをやれば、DLCのDL数が人気に直結する。
それにより続編では、特定のキャラクターが「卒業」して、「新入生」と入れ替わりになることも想定できる。つまり、現実のアイドルやクラブの世界に近づく。
そこではゲーム全体のユーザというだけでなく、個々のキャラクターのファンという側面が強くなる。上述のように「応援」によってキャラクターの今後の進退が変わるから、入れ込みがいも出てくるというものだ。
最後にここまで述べたことを整理すれば、時間同期・制限性を導入することで、キャラクターのバーチャル性を高めていく、という次世代ギャルゲの構想なのである。
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