なぜ、ロボットアニメに比べてロボットマンガが少ないのか?

発端

アニメでは週に最低でもひとつは存在しているジャンルが、なぜ、漫画には無いのだろうか? ロボット漫画を語るスレ:アルファルファモザイク

アニメ等では一週間に最低でもひとつは存在しているジャンルが、なぜ、漫画には無いのだろうか?

なぜ、「ロボットアニメ」に比べて、「ロボットマンガ」は少ないのだろうか? 以下、その理由を考えてみたい。

なお、人間よりはるかに大きい「巨大ロボット」に限定すれば、より両者の比率が離れそうだ。『ドラえもん』『ドクタースランプ』などは、等身大ロボットのマンガ作品だろう。私の論では、等身大ロボットではなく、主に巨大ロボットを想定している。

解説

玩具販売・連動問題

ロボットアニメ単体ではなく、玩具販売と連動することによって、収益を確保している。マンガではこの付加効果がない。したがってもし、出版社が玩具会社とタイアップすれば、増えることはあるかもしれない。

作画量問題

ロボットは作画に時間がかかる。アニメが集団制作を前提にしているのに対して、アシスタントがいるとはいえ、マンガは基本的に個人制作ベースのメディアだ。

普通はロボットが戦闘するので、メインのロボットだけでなく、敵のロボットや背景を描かなくては迫力が出ない。週刊連載では大変だろう。

ただし、CGの活用によって、直接手で描く作画量を削減することはできるだろう。デジタル作画が普及しているので、これによってロボットマンガが増えるということは十分ありそうな話だ。

情報量問題

ロボットが登場する背景など、説明しなければならない情報量が多い。

よくある設定では、主人公が在籍する学園とロボットを所有する組織と、両方を紹介する必要がある。さらに、戦闘時もロボットの外側と内側(コックピット)双方の描写が強いられる。

また、アニメが動画・色彩・音声といった表現手段を持つのも、ロボットの迫力を出すのに向く。われわれの身近にロボットという存在がないので、その挙動を自然に想像できず、詳細な描写が求められるのだ。

近未来的な話になるが、「アイボ」「アシモ」のようなロボットが一般に普及して、ロボットがいる前提を読者が共有できれば、等身大ロボットものが増えていく、というシナリオもありうる。

アンケート問題

ロボットものは、作画・作話の設定に時間がかかる。それなのに、十週で打ち切りになってしまったら、設定の大部分がムダになってしまう。

もしこれがラブコメなら、キャラやエピソードはまだしも潰しが利きそうな感じがする。それに対して、ロボットものは基本的にSFの世界観なので、単純に移植すると辻褄の合わない設定も多いだろう。

原作のロボットアニメをコミカライズした作品なら、これは問題ないだろう。

結論

(巨大)ロボットアニメは、アニメの一作品あたりの制作規模がマンガより大きい、ということを前提にして成立している。結論は、大きいロボットには大きい制作環境が必要、といったところだ。

付論・ゲーム・ラノベにおけるロボットもの

元エントリにならって、アニメとマンガの関係だけ考察したが、最後に他メディアについても触れておこう。

「ロボットゲーム」は、ロボットマンガよりは盛況であると思われる。その理由にはまず、近年のゲームの制作規模がアニメと同じくらいには大きいことがある。そして、操作するというゲームのメディア特性が、ロボットと相性が良いというのもある。

特に近年のゲームは、ポリゴンの進歩によって、アニメを上回る迫力や臨場感を出せるようになっている。今後、ロボットが描かれるのに、有望なメディアだろう。

「ロボットラノベ」というのは、ノベライズ以外、あまり見ない。文字の世界では、作画量問題や情報量問題はクリアできそうだ。しかし、今度は物理的スケールが持つ意味が薄い。

たとえば、「全長100mのロボが暴れて街を破壊した」などと書いたときに、前述のように巨大ロボットが現実に存在しないし、ラノベが映像・音声などの情報を持たないので、イメージしにくい。

さらに、絵師側は設定・作画の負担が大きそうだ。手間がかかる割に、イラストの枚数が少ない。『ハルヒ』のように、世界全体に作用するような、抽象的なSF的設定の方が好まれるだろう。