同人誌制作日記(10)

題名

新文学』というタイトルにします。これは相方の松平さんと、二人で打ち合わせたときに決めました。これは、『新現実』(新現実 Vol.1 (カドカワムック (156))など)という、大塚英志氏の思想誌に影響を受けています。

「新文学」というのは、ここ十数年のネット環境・デジタル環境の進化を取り込んだ、新しい文学観を提唱するものです。たとえば、ライトノベルやノベルゲームやケータイ小説が、「新文学」の一例です。

しかしさらに、たとえばニコニコ動画の字幕は、動画に対する批評である、少なくとも批評になりうる、と考えています。あるいは、はてブのコメントが元のページに対する批評であるとも考えられます。

今度の同人誌では、そういう視点の可能性を探ります。特に私のキャッチフレーズを言えば、「ロングテールの作家性」です。コミケの二次創作でもニコニコのMADでも、面白いものはあるのだけれど、既存のメディアは十分にすくいあげていない。

それらを「新文学」と呼ぶのは強弁なのかもしれませんが、今回のゼロアカも、ゼロに戻る、ゼロの地平を徒手空拳で進む、という意味らしいので、共鳴するところはあると思います。

経過報告

間が空きましたが経過報告です。忙しくてブログの更新もままならないのですが、私にはブログくらいしか取り柄がないので、更新もしていきたいところです。

予想以上に必要な作業が多く、やや憔悴はしてきましたが、自分のやりたかったことなので少しも嫌ではないです。とにかく、積み上がったタスクを着実に崩していかないと、9月にはデスマーチ状況に陥りそうで怖いところです。

いろいろ手が回りませんで、協力者で必要な情報が届いていない方は、依頼しておきながらお手数で申し訳ないですが、遠慮なくメールで催促して下さればと思います。

さて、水面下では作業が進んでおりまして、すでに発表したメンバーに加え、さらに寄稿を頂けることになりました。公表は後ほどになりますが、同人誌ながら豪華メンバーになり、私も出来上がった本を見るのが楽しみです。

たくさんの方が協力してくださって、いくら感謝しても感謝しきれません。

意気込み

もちろん、文学フリマの抽選に漏れたら、ゼロアカには参加できません。もうじき、文フリの当落結果が送られてくる予定ですので、運命の時が近づいてきています。

しかし、今年はツキが回ってきているので、受かりそうな予感がしてなりません。かりに落ちたとしても、ここまで来たので同人誌は作ります。500部ではないでしょうが、きちんと刷って売っていきます。

――あるいは、同人誌の続編を何十号・何百号も出して、自力で1万部という選択肢すらあります。それは決して華々しいデビューではないでしょうが、徒手空拳の道場破りは、それくらいの意気込みがなければ、壁を破って通ることは難しい。

それでは出場する意味はなんでしょうか? 単著自体はもちろん重要ですが、それを出す際に第一線の編集者に、鍛えられていく課程が欲しいと感じています。

大勢で本をつくるときに、ライターはワンオブゼムなので、おろそかにしてるわけではなくても、編集者はいちいち構っていられません。いや、ちょっとした指摘でも、駆け出しの自分にはとても参考になりますが。

だから、最初から最後までつきあい見届ける経験がしたい。今回の同人誌はすでにそういう経験で、非常に勉強になりますが、さらに次のステージに進みたいのです。